木村達成 10周年コンサート -Alphabet Knee Attack - 感想

 

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木村達成さんデビュー10周年おめでとうございます!

2日間本当に楽しかったです。永遠に楽しかったです。何なら27日のGift For Youから祭りでした。

♪これは夢なの 夢じゃないよ 覚めないでほしい

ずっとグロリアになっていました。

当日も始まるまで現実だと信じられなかったけど無事に2日間完走したということで、自分の備忘録として新鮮な感想をまとめていきたいと思います。

 

M1 バンザイ〜好きでよかった〜

直近に見たたつなりさんが27日のGift For Youで“アンヌと腕を”と“もしかしたら”を歌っている姿だったので、最初のイエーーーイがアカペラで始まったときの衝撃がすごかった。これから何が始まるの?というドキドキ感。

というかポップスパートの衣装が好きすぎたのですが?!Vネックの白シャツと黒のレザーパンツ、小指にゴールドの大きな指輪、ゴールドのバングルとチェーンネックレス。極め付けはしゃがんだときに見えた赤いソックス!天才なの?天才か!部坂さん、齊藤さんいつもありがとうございます!最高です!

 

暗転の中バンドメンバーの方々が登場し、空気が整った後、1人の男性が出てきたのですが・・・

たつなりくーーーん!!!!かっこいいよーーーー!!!!と心の中で絶叫してました。いい声といいビジュアルに開始早々殴られた。いや、たぶん現実は頭がたつなりくんに追いついていなかったので、-そのうちオタクは 考えるのをやめた状態だったと思う。

そして、たつなりくんがめっちゃ楽しそうに歌っているのが本当に幸せすぎた!

♪君を好きでよかった(本当に)

このまま ずっと ずっと 死ぬまでハッピー(ハッピーであってくれ)

バンザイ 君に会えてよかった(こっちの台詞だよ)

このまま ずっと ずっと ラララ ふたりで(ピースが可愛すぎるよ)

 

♪ホント スケベ オレの頭ん中の表情が可愛すぎて木村達成さんの魅力大爆発でした!川久保さんが「かっこよさと可愛さを兼ね備えるたつなりくん」と言っていましたが、さっきまでワイルドに歌っていたと思ったら超チャーミングになったり・・・。本当にかっこよさと可愛さを兼ね備えている!

 

ラスサビ前の♪だからBaby Baby そばに そばに そばにおいでよの拍の取り方がとても好きでした。

 

M2 サウダージ

世代なもんでイントロを聴いて爆上がりしないはずがない!ポルノご本人様の映像よりもカラオケで誰かが歌っているのを聴きすぎてカラオケの謎時計の映像が浮かぶ。

たつなりくんがイケイケな曲をイケイケに歌ってるの好きすぎる。

たつなりくんが主語「私」の曲を歌うのが好きです。

サビ頭で♪ゆ(低)る(高)してねって低いところに重心を置いてから高い音に上がるのとか、たつなりさんのこの音型の歌い方がサウダージに限らずめっちゃ好きで困る。

♪あなたのそばでは 永遠を確かに感じたからで転調するところなんて絶品だった。

 

M3 君は天然色

前に雑誌のインタビューでこの曲について言及していて、私は歌に疎いもので、タイトルだけで曲が思い浮かばなかったので調べたら「ああこれか!」となった思い出。

M1、2とのギャップでさらに好きになっちゃうやつでした。

さっきまで割とワイルド寄りだったのにこの曲は甘い声!

たつなりさんってめちゃくちゃ滑舌が良くて、ストレートでもミュージカルでも絶対に聞き取れるのが本当にすごいと思うのですが、この曲に関しては滑舌の良いしたったらず(正確には舌足らずなのだろうけどたつなりさんのは「したったらず」と言いたい)で甘え上手な感じ。ずるいわ〜!

♪くちびるつんと尖らせてでくちびるつんと尖らせたり、♪手を振る君の小指からで小指立てて見せたり(しかもあの指輪付き)魅了するにも程がある!かわいい!

2日目はペンライトをピンクで揃えたのも楽しかったなあ!

 

M4 ギザギザハートの子守唄

たつなりくんは「僕は悪ガキじゃなかったですよ。良いガキでしたよ」と言っていましたが、言わせてください。これはあなたのテーマソングです。

似合いすぎ!

一匹狼していたたつなりくんじゃん。

 

1日目が終わってから本家を聴いてみたのですが、たつなりくんの歌い方ってすごく哀愁が漂っていて、「今ワルだけど過去にどんなことがあったの?何かこの人を変えるような出来事があったの?」とストーリー性を感じました。木村達成さん、役者だね……。

だから♪仲間がバイクで死んだのさ とってもいい奴だったのにとか、そのフレーズだけでこの曲の主人公の5年分ぐらいの人生を感じた。

 

♪力任せに殴られたの言い捨てるような歌い方がめちゃくちゃ色気があって好きでした。

♪卒業式だと言うけれど 何を卒業するのだろうも哀愁がすごくて、物語を含ませるの上手すぎる。この言葉自体がたつなりくんっぽい。

 

M5 勝手にしやがれ

これはあなたのテーマソングです 第2弾

配信で歌ってくれたときもすごく上手で臨場感がやばかったけど、生で聴いたらもっとやばかった。

ギザギザハートが終わってスッと後ろからスタンドマイクを取り出したときのかっこよさは何なの?!木村達成がスタンドマイクで“勝手にしやがれ”を歌っているという事実だけでやばいじゃないですか?!似合いすぎるよ!

 

MCで川久保さんに「どうしてこの曲(M3〜5)を歌おうと思ったんですか?」と聞かれてすごくキラキラした目で「僕もともと大瀧詠一さんがすごく好きで・・・」「チェッカーズは他にも好きな曲はいっぱいあるんですけど・・・」などとお話しされていたのが印象的でした。いたずら好きの少年のような目で本当に歌が好きなんだなあと伝わってきました。

 

M6 ラヴ・イズ・オーヴァー(1日目:加藤和樹さん)

はい天才です。

この曲を和樹さんに歌ってほしいとリクエストしたたつなりくんにも、わかるわ〜!聴きたいよね〜!絶対和樹さん合うじゃん〜!と拍手を贈りたい。

 

ファントムのときに、和樹さんエリックは城田さんエリックよりもどちらかと言うと大人の恋をしていそうと思ったし、ジャックザリッパーでもアンダーソンとポリーの大人の恋愛が良すぎて泣いたのは言わずもがな。

 

間奏で下手からペンライトを持ってひょっこり登場して客席のペンライトの動きを合わせて引っ込んで行ったたつなりくんが可愛かった。

 

この曲に限らず、和樹さんとバトンタッチするときに必ずグータッチするのが本当によかった〜!兄貴〜〜〜!!!これからも末長くよろしくお願いいたします!!!

 

M6 宇宙刑事ギャバン(2日目:柿澤勇人さん)

ねえwww 数日前に日生劇場鹿賀丈史さんとジキハイ歌ってた柿澤さんどこ行った?www

めっちゃ好きですwww

前にどこかでたつなりくんが柿澤さんのことを「僕とフィーリングが合う人です」みたいに言っていた記憶があって、でもGift For Youの柿澤さんを観て本当に?と思っていたのですが、なるほど把握しました笑

 

曲紹介で「宇宙刑事ギャバンです」と聞いたとき、ジョークかな?と思ったらガチでめっちゃ笑った。持ち歌なんですね。最高ですね。たつなりくんが和樹さん同様に「かっきーにも歌ってほしい曲をリクエストしたのに跳ね除けられました!」って笑顔で言っていたのも笑った。

たつなりくんも早速ダウンロードしたということでどこかで聞けるのを楽しみにしております!

 

M7 カブトムシ

すごい。

手にとって紡ぎ合わせるみたいな歌い方。ジャジーなアレンジも素敵。

 

2日目はギャバンが終わって「すごいな〜!やられた〜!」ってニコニコしながら出てきてから、「次の曲は今回のセットリストで唯一の女性の曲です」ってMCするまでの空気の変わり方が魔法のようでした。ここに限らず(特にミュージカルパート)曲が始まる前の曲紹介のしっとり感が雰囲気がありすぎてすごかった。

 

付点8分+16分のターンタのリズムが切そうなのに切れないで次に繋げていく揺らぎがとても綺麗でした。

 

そして♪生涯忘れることはないでしょうの歌い方!

1番はしょうが(地声)い(ファルセット)わすれ(地声)る(ファルセット)だったのが、最後はしょうがい(地声)わすれる(地声)とスパーンと抜けるように歌っていたのがすごいなあと思いました。

 

バンドの後ろのライトが薄いピンクのような橙色のような色で、温かい雰囲気で素敵でした。

 

M8 ドライフラワー

これも地声とファルセットの使い分けがかっこよかった。

たつなりさんの、短い音の中にビブラートを凝縮させる歌い方が好きです。一つの音の密度が高くて音の回転数が多い歌い方が好きです。(うまく伝えられない)

あとたつなりくんのア母音の開放した響きが大好きなので、♪もしいつ どことという短いフレーズの中にも好きポイントがいっぱいでした。

 

M9 白い恋人達

Foot looseの5thイベで聴いて以来の白い恋人達。あれ2018年らしい、怖い。

あのときは歌う前にすごく恥ずかしがっていたのに歌い出した途端に空気が変わってめっっっっっっちゃうまくて度肝を抜かれたのを思い出しました。

あの衝撃から早4年(マジか)。成長すごすぎない?当時もとても上手でびっくりしたのに比べるのも烏滸がましいくらい全然違う。

これもファルセット大天才のたつなりさんでした。

♪ただ逢いたくて もう切なくて 恋しくて(ファルセット)からのはパーンと通る声で緩急がめっちゃ好き。

 

今これを書きながらたつなりさんの卓上カレンダーを見たら1月の穏やかな表情で目を閉じるたつなりくんと親和性高いなと思いました。

 

M10 Waving Though a Window(1日目:加藤和樹さん)

どうしてこの曲を歌おうと思ったかを聞かれた和樹さんが「10周年を迎えたたつなりとファンの方に贈る歌です。」とおっしゃっていて泣きました。ありがとうございます。

たつなりくんが和樹さんのことを「なんでも話せる兄貴」「今回もソロコンをやると決まって、僕だけの力では絶対にできないと思ったので、すぐにかーくんに助けを求めた。兄貴ー!って」と言っていて、そんな心強い存在がいるのは純粋にうれしいです。

 

ミュージカルは好きだけどたつなりくんが出演しているものに全振りしているため全く詳しくないのですが、この曲はどこかで聴いたことがあると思ったらPentatonixのアルバムでした。

 

和樹さんのライブでの魅せ方が本当に上手だなと思いました。かっこよかった!

 

M10 デスノート(2日目:柿澤勇人さん)

かっこよい!

Gift For Youで思ったんですけど、アンドリュー・ロイド=ウェバーとフランク・ワイルドホーンの存在感がやばかったので、たつなりくんはワイルドホーンと末長く仲良くやってほしい。

道端で偶然ワイルドホーンに会って会話しちゃうたつなりくんがめっちゃ好きなのですが(ワイルドホーンってその辺の道でばったり会えるんだ…?)、ワイルドホーンとご飯に行ったけど何言ってるかさっぱりわからなかった平方兄さんもめっちゃ好きでした笑

 

柿澤さんの歌を聞けば聴くほどWSSが観たくなる……!柿澤さんのSomething's Comingが聴きたかったな。どこかでそんな素敵な機会があるといいなあと思いました。

 

M11 映画みたいに(ミュージカル『四月は君の嘘』より)

ここからミュージカルパート。登場したときシャンドン伯爵が出てきたかと思ったよね。

そういえば、シャンドンをやっているときは自分のことを(痩せすぎて)カリッカリのベーコンって言ってたのに、その後JtRでマッチ棒、今回は爪楊枝って言っていてどんどん細くなっていって心配です、お正月で肥えてください……。

 

ミュージカルの曲もやると発表されていたので、Twitterに事前に上がった写真を見て「ガチバンドじゃん?」とびっくりしました。あの編成でどんな曲もできちゃうのすごすぎた!

 

 

よくよく考えてみると、自分の持ち歌(本役?)はこれしか歌わなかったのがたつなりくんらしい。この先の未来をプレゼンされました!

spice.eplus.jp

 

髪を上げてバチバチのビジュアルだけど柔らかい表情と歌声。目を瞑って口元に笑みを浮かべながら歌う姿が大好きです。

君嘘の楽曲はどれも好きでしたが、“映画みたいに”は公演を重ねるごとにどんどん極まっていった印象で、♪まるで映画 彼女は特別のたつなりくんの微笑みがとても好きでした。

今回はバンドアレンジで本公演とはまた違った印象で聴けたので、色々なアレンジを味わえるのもコンサートの楽しみの一つだなあと思いました。

 

M12 最後のダンス(ミュージカル『エリザベート』より)

1日目は芳雄さんからのビデオメッセージでエリザベートに出演したときのことを話してくださったのですが、まさかその後に最後のダンスを歌うと思わないじゃないですか?!?!?!

いや、正直いつかトートとかフランツとかやってほしいなあと思っていました。コンサートとか、まずは本役じゃなくても何かしらで聴けたらいいなあ……ぐらいに思っていたんだけど。うーん、でも何かしらってなんだろう。グリブラ?いや、芳雄さんの目の前で歌うのは余計になんか緊張しちゃうな(こっちが)披露するなら2年後くらいかな?くらいに思っていたのに(ここまで早口)

今歌うんですね?!

しかもめっっっっちゃいい!!!

1日目もよかったんだけど、2日目が特にすごかった。

直前が“映画みたいに”でキラッキラで慈しみをありったけ込めたみたいな目で歌っていたのに、MCで「僕はルドルフを演じたんですけど、今日はトートのこの曲を歌いたいと思います。」(ウィスパー)と曲紹介をすると、スッと表情が変わって一気に目から光が消えたんですよね。瞳が真っ黒になって怖かった。やっぱり木村達成さんは自分の目に入る光の量を調節可能です。

たつなりくんの背中に黒い羽やマントが見えた。妖艶でロックなのがすごくハマっていた。

ともちんさんとのエピソードも話してくれたんですけど、

「『エリザベートにルドルフという役がある。この役が来たら絶対にやりなさい。』って言われていて。そしたらほんとに来ちゃった。」の「来ちゃった」がポカンと直立不動に言っていて幼い感じが可愛かった。

 

M13 明日への階段(ミュージカル『ルドルフ 〜ザ・ラスト・キス〜』より)

選曲神かよ。オタク心を分かりすぎている。たつなりくんがやりたい曲をやってくれるのが1番ですが、エリザからのルドルフ 〜ザ・ラスト・キス〜は天才。

 

本当にミュージカルに疎いもので、以下のことはルドルフ 〜ザ・ラスト・キス〜の具体的な内容はさっぱりわからないまま書きます。

たつなりくんのルドルフ(エリザ)はあと一歩で革命を成功させそうな皇太子だったと思うんです。幼い頃から政治の教育を受けて、今のハプスブルク家の現状を理解し、どうにかしようとしている。自分の為すべきことがわかっていて、それに向かって突き進んでいく意志の強さがある。

「僕はなるんだ 強い英雄に」と敢えて“皇帝”ではなく“英雄”と言っているのは、この国を救うためならば家柄や身分は関係ない。革命家と手を組んででも純粋に国を救いたいという気持ちがあったからかな。

たつなりくんのルドルフは佇まいが武士のように堅くて、幼い頃から皇族の英才教育を受けてきたのが滲み出ているんだけど、柔らかいものよりも硬くて真っ直ぐなものほどポッキリと折れやすいように、理想に向かって真っ直ぐだからこそ挫折したときのダメージが大きい。

そんなイメージだったんですよね。

 

そしてエリザを観ていたときに“HASS”から一気に時代を近く感じることに驚きました。大戦の描写がされるところから、遠い国のお伽話だったのがぐんと現実味が出てくる。

 

今回初めて“明日への階段”をちゃんと歌詞に注目して聴いたら、たつなりくんのルドルフにぴったりだなあと思いました。

民衆を率いて前進していくところやリーダーの素質がありそうなところ。

♪もっと自由で平等な社会 進む化学が全てを変えるが時代の先を見ていたたつなりくんのルドルフにぴったりだと思いました。

たつなりくんは未来への希望を歌うのが本当に似合う。

 

あと2番だったかな?♪そして目指そう この一歩からで自分の足元を「一歩」と指差すのがとても好きでした。

 

お願いです。ルドルフ 〜ザ・ラスト・キス〜を再演する際はぜひ木村達成くんにルドルフをやらせてください。もう芳雄さんには本人がやりたいって宣言しているので!!偉い人何卒よろしくお願いいたします!

 

M14 ゴー・ザ・ディスタンス(映画『ヘラクレス』より)

明日への階段からゴー・ザ・ディスタンスの流れも最高だったんだよな〜!

MCの「やっぱりディズニーの曲も必要でしょ、ということで」(ウィスパー)もめっちゃ好きでした。全編において言えますが、MCが総じていい声だったし1曲歌い終わった後に必ず「ありがとうございました。」ってお辞儀しながら言うところとか好きしかない。

 

あらかじめ歌うと発表されたときから大優勝していたゴー・ザ・ディスタンス。絶対いいに決まってる。英語か日本語か気になっていたけど日本語バージョンでした。改めて前向きな歌詞がたつなりくんにぴったり。

MCで「僕この俳優さんがやった役を演じたことがあって、何か繋がりを感じますよね。」と言っていたのもうれしかった。プロデューサーズは超楽しかったからまたやってほしいなあ。カルメンさんももう1回観たいけどレオも観たいなあ。

 

M15 We Can Do It(ミュージカル『プロデューサーズ』より)

ゴー・ザ・ディスタンスを歌い終わり水を飲んで下手に背を向けていたら川久保さんが登場してちょっと笑っちゃったたつなりくん。客席も不意打ちで、川久保さん何しにきたの?状態。

 

第一声の♪ステップワンからもう楽しくてしょうがなかった!この曲からジャケットを脱いでいたのも楽しかった。川久保さん、この曲が馴染みすぎるし各所でプロデューサーズの話をしてくれるから、あれ?プロデューサーズ出てたよね??って錯覚してしまう笑 あの世界観に川久保さんがいても何の違和感もない笑

「……なんと言ったんですか?」のところが、「……で?」「えっ」「え?」「…えっ?」って川久保さんとたつなりくんの日常会話みたいになっていて面白かったです。SLAPSTICKSもだったけどたつなりくんのこういう間合いが大好き。

あと自然とマイク両手持ちになっちゃうたつなりくんが本当にかわいい。たつなりくんのレオもいつか観たいなあ。

 

M16 こんな夜が俺は好き(ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』より)(1日目:加藤和樹さん、木村達成さん)

“We Can Do It”が終わって床に寝そべっていたら下手から和樹さんが登場して(もうジャックが入っている)、たつなりくんが「怖い!怖い人出てきた!(高い声)」って怯えていたのがかわいかったです。

これもすごく合っていて楽しそうだった!

今までたつなりくんは古川さんに似ていると言われることが多くて和樹さんに顔が似ていると思ったことはなかったんだけど、これを一緒に歌っているときにそっくりでびっくりした!見た目がそっくりの仲がいい兄弟みたいだった!

 

1番の♪獣が鳴くで和樹さんがワオーーーーーーンって遠吠えをやったんだど、和樹さんが狼だとしたら、次のたつなりくんのワオーーーーーーンはもうちょっと小さめで尻尾をブンブン振っているやんちゃな犬って感じだった笑 そんなところもお茶目でチャーミングで好きです笑

 

♪お前はもう俺の奴隷だがたつなりくんパートで、和樹さんのことを指差して詰め寄っていたのがバチバチしていてとてもよかった。たつなりくんがジャックをやるのは考えたことがなかったけど、これは持ち歌にしてほしいくらい似合っていた!ロックな動きもスクラッチもめちゃくちゃ楽しそうだった!

 

最後の♪地獄のーーーーの2人のロングトーンで有楽町が揺れた。ビリビリいってた。

 

M16 世界の王(ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』より)(2日目:柿澤勇人さん、木村達成さん、川久保拓司さん)

お待たせしました。世界の王です。

まさかの夢の共演!

ロミオ:柿澤勇人さん、ベンヴォーリオ:木村達成さん、マーキューシオ:川久保拓司さん

柿澤さんがゲストだけど2人で何歌うんだろう?WSSかな?なんて言っていたらこの3人でロミジュリか〜!楽しい〜!

たつなりさんのベンヴォーリオが大好きなもんで……。

イントロで客席も爆上がりしていたし、それまでペンライトを振っていてもこの曲が流れると自然に手拍子しちゃうお客さんたち、LOVEでした。体に染み付いてるのよ。

マーキューシオパートで川久保さんが歌い始めたときに、たつなりくんが指差して「パリス〜〜〜〜!!!!!」って叫んでいたのが面白かった笑

そしてマキュが歌っているときにいつも後ろでロミオとちょけていたたつなりさんのことも思い出した。

♪朝から夜まで全ての時間をで腕をアップする振りつけを少しやってくれたのもうれしかった。

思い出すだけで楽しかった“世界の王”。定期的に言ってるけどまたガツガツ踊るたつなりさんが観たいなあ。マチルダでリボンを振り回して踊るトランチブル校長を楽しみにしています!

 

M17 ありのままの私

本当にまさかまさかすぎて!

オタク的にラカージュはとても大切な作品で永遠に好きと言い続けたいんだけど、グリブラの公開ゲネプロやその他の番組でもちょいちょい話題に出してくれたり、27日のGift For Youで“アンヌと腕を”を歌ってくれたりしてうれしいなあと思っているところに!ご自身の!初のソロコンで!ザザの!“ありのままの私”を!歌うなんて!たつなりくん!一生ついていく!ありがとう!!!

ラカージュとたつなりくんのジャン・ミッシェルへの特大感情を2018年から大切に抱えてきた私たちに「そのまま好きでいいんだよ」と言ってくれたようなこの一週間でした。うれしすぎ!

ラカージュの曲はやってほしかったし、やるなら持ち歌の“アンヌと腕を”だろうと思っていたのですが、曲振りの様子がどうやらアンヌではないな?もしかしてジョルジュか?と思ったらザザでした。

2018年当時はたつなりくんは鹿賀さんのジョルジュに似ているとよく言われていて、将来ジョルジュやらないかな?と思っていたんです。でもプロデューサーズカルメン・ギアをやって、これはアルバンもいけるんじゃない…?となって。

そして2022年の木村達成さんによる“ありのままの私”を聴いたら、似ている似ていないとかではなくて、舞台上に立つザザの姿と10周年を迎えステージに立ち続けるたつなりくんの姿が重なって見えました。こんなにリンクするなんて思わなかった。

2018年に観たときはこんなこと思わなかったのに、歌詞の意味がたつなりくんにぴったりだと思いました。

これを歌う前にも和樹さんに「俺は俺だから」って言っていたと思うんだけど、本当に「私は私」だなあ……。♪貶されても 拍手浴びても 関係ない 誰のものでもない 誇り高く 生きるだけ そうよ 私は私だなあ……。「俺、嘘つけないですもん。」とかよく言っているのも♪ありのままに 嘘をつかず 生きてきた 自分の太鼓を叩いて進む うるさきゃ逃げてだなあ……。

自分で自分の人生の責任を取って舵を切って進んでいくたつなりくん。この歌ぴったりだね。♪一度だけのこの人生 自分のカードは自分の手でまく どんなカードが来てもいい そうよ!私は私よだね。泣いちゃうよ。当日もボロボロに泣きました。

これを歌っているたつなりくんは凄みがあって、これからの決意表明の歌にも聴こえました。

本当にありがとう。これからも応援させてください。

 

M18 また逢う日まで(1日目)

“バンザイ”で始まって“また逢う日まで”で終わるってそんな幸せなことある?天才セットリスト。実質“Goodbye! ”(プロデューサーズ)でありカントリーベアシアターです。(♪またいつか来てください いつでも待ってるから さよならなんて言わないできっとまたいつか会いましょう

 

M18 15の夜(2日目)

ラストに来ました、尾崎です。すみません、尾崎豊さんのことを全然詳しくないのですが素人目線でもたつなりくんとの親和性高い。

突然ですが、『木村達成 フォト&インタビュー』買いました?私はFCのサイン本が自宅に届く前に遠征してしまったもので、27日のGift For Youの時点で読んでいなかったのですが、我慢できずに28日に本屋さんに買いに行きました。そして1日目が始まる直前の夕方に読んでからニーアタに行ったんですけど、“15の夜”の歌詞がのがしょ(野上祥子さん)からのお手紙に出てくるたつなりくんそのものじゃないですか?

www.gentosha-comics.net

のがしょからお手紙をもらえること自体めちゃくちゃうれしい。ドリライ2017のゲストコーナーで突如青7オーディションのことが語られて以降、少しずつ明らかになっている当時のこと。足の形に言及されているところで笑ってしまった。

 

 

以上、新鮮な感想は新鮮なうちにということで取り急ぎまとめました。

♪(後から)もらえる(新鮮な)感想は一つもない、1万ポンドを出すと言っても

そして!なんとWOWOWさんで2月18日16時から放送してくださるということで!スポンサー様ありがたい!

www.wowow.co.jp

チルダではまた新たなたつなりさんを見ることができそうでとても楽しみです!

そちらもWOWOWさんで特番があるそうで!

www.wowow.co.jp

楽しみが続くのはうれしいなあ!今まで歌った曲も歌ってこなかった曲も、ジャンルを問わずもっと色々聴きたいと思ったので、アルバムなんて出してくれたら本当にうれしいなあと思います。

木村達成くん、君は永遠の驚きだ!

 

「世界が木村くんを見つけますよ…!」ーFCのインタビュー(7/7公開)を読んで思ったこと

音楽劇『銀河鉄道の夜2020』と、同じく白井晃さん演出のミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』(以下JTR)について、プロデューサーお二方とたつなりくんの対談がFCにアップされました。

なんか、好きしか言えない!!!!最近ずっと好きしか言ってないけど!!!

FC限定なのでもちろん中身には触れずに書きますが、銀河鉄道とJTRはたつなりくんの出演作の中でも個人的に3本の指に入るくらい大好きな作品なので当時の感想も振り返りたいなあと思って書いていたら、この記事のアンサーソングのようなたつなりさん好き好き文章になってしまいました。↓

chim-chim-cheree402.hatenablog.com

これエリザベート2019の千秋楽に書いた記事なんですが、、、随分と遠いところにきましたねえ。(遠い目)

当時も今のたつなりさんが最強!と思っていましたが、たつなりさんは日々進化(深化)し続けて、オタクの私はたつなりくんのお芝居はもちろんのこと、考え方や人間性、仕事への向き合い方も大好きになって……。私なんて取るに足らないオタクだけど、これからも応援させてください!「木村達成くん、君が好きです。」の気持ちです!

 

 

コロナでWSS3と四月は君の嘘が飛んでしまった日のことは今でも覚えています。PVや稽古動画も上がっていたし、公演直前だったWSS3は劇場で衣裳付き通し稽古が終わったときに公演中止を知ったと聞きました。

公演するのか、しないのか。私自身も、いつお知らせが来るかと日々スマホを握りしめていた日々は忘れられません。

たつなりくんが稽古やそれ以外の時間も費やして積み上げてきた努力が全て無になってしまうのは悲しすぎる......公演してほしい......でも私自身は地方住みがネックで、たつなりくんの舞台なら這ってでも行きたいけど、世界が色々とストップしていた2020年4〜5月に自分の家族や職場を犠牲にして東京に行けるのだろうか......正直怖い......厳しい......

それぞれに葛藤があったと思います。

エンタメを受け入れる側のオタクでさえメンタルがやられるのに、それを生業にしている方々の不安や苦しみは想像を絶するものだと思います。

 

最近、たつなりくんがインタビューで自分を変えたものは?と聞かれて「コロナです。」と答えているのをよく見ますが、確かにあの時期からたつなりくんのインタビューの答え方がまた少し変わったなあというのはファンの目から見ても明らかで。ライブドアニュースの記事で母校に行ったりさらっと野球のことを話してくれたりしたのも衝撃でした。

役者を志した理由とか野球を辞めた理由とか、とにかく自分の核となることは聞かれても当たり障りのない言葉で受け流していた印象のたつなりくんだったので、こんなにオープンに話してくれるんですね?!何か心境の変化があったのかな?と驚きました。

 

youtu.be

自粛中の自身の心境について「僕はこのまま忘れられるんじゃないかと思った。」と言っていたのが悲しすぎて、そんなこと絶対にないよ……と泣いたのですが、そうか……こっちがこんなに応援したいと思っていても言葉にして伝えないと伝わらないんだと改めて思ったのがこの時期です。そんな経緯があったので、この後の音楽劇『銀河鉄道の夜2020』では毎公演ファンメールで感想を送っていたのも今となっては懐かしいです。

 

音楽劇『銀河鉄道の夜2020』

個人的な話ですが、大学のときに宮沢賢治の授業を受けいて、今思い返すと一瞬賢治で卒論を書こうとしていた時期もありました。書こうとしただけで結局賢治さんとは仲良くなれず、日本語学で卒論は書いたのですが。

余談ですがJTRの役割語

SLAPSTICKSの役割語

 

それで、なんで大学生の私は宮沢賢治で挫折してしまったかというと、「自己犠牲」の精神が全く理解できなかったのです。私は本当に呆れるくらい自分勝手な人間なので、自分を投げ打ってまで誰かのために何かしようとか小難しいことは考えずに自分のために楽しく生きたらいいのに……なんて考えてしまって、賢治さんと仲良くしたいけどなれずに大学生を終えてしまいました。

それがたつなりくんをきっかけに音楽劇『銀河鉄道の夜』を観て、自分でもなんでかわからないくらい心に刺さりました。特にタイタニックの家庭教師のシーン。宮崎秋人くん演じる家庭教師が子どもたちを両脇に抱えて叫ぶ「できません!」。自分の大事なものを守るために、人間としての当たり前の価値観を秤にかけられるのか。そんなことを考えさせられました。

私自身が宮沢賢治の難解さに挫折しているので、情報解禁になったときに「台本より厚い本を読んだことがないたつなりくんが宮沢賢治を?!」と内心思ったり思わなかったりしたのですが笑、いや〜〜〜!木村達成さんは本当に真面目な方だなあと改めて恐れ慄いたのが、実際に岩手に行ってイーハトーブの風を感じたり、台本と『銀河鉄道の夜』と解説書を行ったり来たりして徹底的に勉強しているところなんですよね。めっちゃ真面目!!自分で自分を「真面目すぎるくらい真面目なんです。」って言えるようになったのも最近ですけど、ずっとお芝居に真面目ですよね。

この自己犠牲の精神はしばらくたつなりくんの中にあり続けたんだろうなあと思ったのが、2021年の年末に加藤和樹さんのラジオにゲスト出演したときです。うろ覚えなんですが、「男らしさとは自己犠牲」と言っていて、このときにはJTRも終わって心身ともにすり減らしてダニエルを演じていたのを観た後だったので、自分を労って!!!大事にして!!!と思ってしまいました……。

とにかく私にとって銀河鉄道の夜に通った2020年9〜10月はとても上質な時間でした。プロデューサーズみたいなハッピーハッピーミュージカルも大好きだけど、こういうじっくり考える舞台を観るのも本当に好きだなあと思いました。

 

↓以前書いた感想文

chim-chim-cheree402.hatenablog.com

 

「証明してくれる?」

 

宮沢賢治の第四次の話

 

明滅する苹果

 

ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー

そんなこんなで銀河鉄道の時点で「白井さん好き!!!もう1回たつなりさんと組んでくれませんか?!」になってたんですけど、念願叶いミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』でご一緒できると知ったときは舞い上がりました。(かをりちゃん「同じ学校だと知ったときは舞い上がりました。」)

先日公開されたFCのインタビューで、オファーの経緯を知って泣きました。

このお仕事はご縁で繋がっているんだなあ、と。

正直JTRは私自身もやりきったなというか、銀河鉄道とは別の意味で観ている側も神経をすり減らしていたので、あまり振り返りができないんですよね。

そういえば猛烈に体調を崩して薬に頼りながら劇場に通っていたのってエリザとJTRだから、たつなりさんが死ぬときにモロに私も影響を受けている?!

これは9月から始まる『血の婚礼』のフラグですね〜笑(矢田ちゃん「健康体でいる!体が資本!」)

JTRについては旧FCのラジオや公開収録イベで公演期間中にもたくさん話してくれました。白井さん演出の作品は余白があるのが面白くて、Twitterでもたくさん考察が生まれていたのが興味深かったです。

日本初演で蓋を開けてみないとわからないという状況の中でみんなチケットを取りましたが、キャストのファン以外にもチケットをとっていた方も多くて、また、公演が始まったら口コミで広がっていた印象を受けましたがどうでしたっけ?

FCのインタビューで“取調室”の話題がありましたが、あそこ私も大好きです。グロリアとの再会による高揚感から3段ギアでどん底に落ち、床を殴りつけることがトリガーになって暴走列車ダニエルになる。

というかこれを書いていて初めて「取調室」のことを「取締室」と書いていたことに気づきました!気づくの遅い!「お前は3年間何やってたんだ!?」(cv.木村達成)(3年は経ってない)(←FODでハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」も配信していますのでオールドファッションカップケーキで興味を持った方はぜひご覧ください)(突然のステマ

 

ラジオでWキャストの話になったときに、愛が狂気に変わる過程について話していたのも印象的でした。本当にたつなりくんの役づくりが好き。

この「地続き」っていうのが好きなポイントで、たつなりくんの役づくりはちゃんと一人の人間として成立していて、全ての事象にそれが起こる理由が存在しているんですよね。そんなたつなりさんのお芝居を浴びるたびに「どんくらい練習したんだ。なんか感動する。」と黄金川くんになってしまう。一挙手一投足、目線、仕草……全てがその役を形作っているのが好きです。

白井さんとストプレもミュージカルもご一緒して、もうなんでもござれですね!!次の作品は何かな?!お待ちしております!

 

chim-chim-cheree402.hatenablog.com

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「世界が木村くんを見つけますよ…!」

最近パンフレットやインタビューのたつなりくんのプロフィール部分を見るとハッとしてしまうんです。

出演作に挙げられているのは、銀河鉄道の夜プロデューサーズ魔界転生、L5Y、SLAPSTICKS、ジャック、四月は君の嘘など。

2018年や2019年に上演したラカージュやエリザ、ロミジュリ、ファントムはカットされている。

これってすごくないですか?だってエリザベートですよ?!経歴に出演作:ミュージカル『エリザベート 』皇太子ルドルフ役(演出小池修一郎)ってあるだけでめちゃくちゃ箔付きの役者人生じゃないですか!?

でもエリザがなくとも「さっきあの役をしていたイケメンは木村達成っていうのか〜!へえ〜実は前にあの作品で見てたんだな?ミュージカルだけじゃなくてストプレでも主演をしたのか。なになに?ドラマも出てるんだな?『青天を衝け』にオールドファッションカップケーキだって?FODで見てみるか!」ってもっと木村達成を知りたくなっちゃう!(そのままベルトコンベアーのように次々と過去作を見る流れにどうぞ)

 

個人的に2019年はミュージカル界での知名度が爆上がりした年だと思っていて、ミュージカルファンなら誰しもが知っているタイトルに次々と出演するたつなりくんを見て、すごい!まるでミュージカル俳優!(ミュージカル俳優だが?)ってツッコミを1人でするくらいには舞い上がりました!笑 これは今もですが笑

別の言い方をすると、2.5のファンがグランドミュージカルに出てほしいなあ〜って思ったときに真っ先に浮かぶような作品たち。だってラカージュのジャン・ミッシェルやエリザベートのルドルフ、ロミジュリのベンヴォーリオ、ファントムのシャンドン伯爵なんて、たつなりくんと同年代の役者さんなら喉から手が出るほど掴みたい役じゃないですか!(オタクのエゴかな?)ルドルフやったら優勝!みたいなところある。※個人の見解です。私自身はたつなりくんが2.5をやっていたときはミュージカルに出るなんて微塵も考えつかなかったのですけどね......!!

 

あ〜〜!超有名タイトルに出たしこれで木村達成の役者人生安泰だ〜!と思いきや!!

そこで終わらないから木村達成さんっていう人間は面白いと思うのです!

最近本人も「木村達成がこの役をやる意味」ってよくおっしゃっていますが、今まで定石だった解釈の斜め上にホームランを打ってくるのがたつなりくんの尊敬できて毎回あっぱれと思うところ。本当にすごい。「他と同じじゃつまらない。誰もしたことがないことをした方が面白い。」という本人のパッションがずっと好きです。そしてその前人未到(?!)の解釈がちゃんと役の的を得ていて全くトンチンカンにならないのがすごい!

顕著なのはエリザベートのルドルフだと思いますが、楽屋のモニターで子ルドのお芝居を見てその日の青年ルドルフの方向性を決めていたことや、“母親シシィの息子ルドルフ”よりも“皇帝フランツの息子ルドルフ”に寄せて役づくりをしたことは今思い返しても天才では?!

大好きなので何回も言うんだけど、たつなりくんのルドルフは革命を成功させちゃいそうなんですよね。幼い頃から皇帝になるための教育を受けて、知識を得るだけで終わらず、父親が治める今のオーストリアの問題にも気づき、憂い、正攻法ではどうにもならなくて革命に乗り出す。

私の中のたつなりくんルドルフの印象って竹なんです。小池先生が「武士のよう」とおっしゃっていたのも印象的だったのですが、硬く真っ直ぐに伸びていくけど一度割れたら一気に真っ二つになる。

ゾフィーの言いなりで政治をしていたフランツとの対比ができているんですよね。

 

それからロミジュリについてFCイベで本人も言及していましたが、お兄さん気質でみんなのまとめ役だったベンヴォーリオを“生き残る少年”として役づくりしたのも信頼しかない!

 

ハイキュー!!で北さんが宮兄弟や影山くんに言っていた台詞で、読んだときに「古舘春一先生の“日常であまりにも何気なく起こったのでさらっと流してしまいそうになる人生を揺るがすぐらいの衝撃を受けた気づき”の言語化半端ないな?!」と思った言葉がありました。

「俺が毎日1から10までやっとるところを侑みたいな連中は1から20やっとんねん。あるいはより効率的な10、密度の高い10。ほんでたまに1から10やなくAからZやってみたらどんなやろ?おもろいんちゃうか??って考えたりする奴らやねん。」

誰よりも努力して、楽しんで取り組もうとするたつなりくんにぴったりだなあと思います。

ドラマ『弱虫ペダル』関連のスカパーの番組で『演劇人は、夜な夜な、下北の街で飲み明かす』という総北メンバーがお酒を飲みながらわいわい語る番組があったのですが、そこでたつなりくんがおごえさんたちに言われていた言葉はずっと好きです。ある意味真髄だなあと思っています。

有料放送だったので一語一句同じじゃなくうろ覚えの記憶で曖昧に書きますが……

たつなりくんロードレーサーに乗るってところから始まった自分がいて、触れ合ってみてどう自分の気持ちが動くのかなって試していた。これを操りながら台詞を喋るのって絶対的に難しい。」

 

直也さん「でもたつなりは誰よりも早く乗りこなしていたよね。」

 

たつなりくん「直也さんが総北のリーダーで『彼よりも上手くなる、彼より上手くなる』って意識はしていた。」

 

直也さん「たつなりとは初対面だったんだけど、こいつのイラってする感じなんだろうって。」

 

おごえさん「新入生なのにできちゃう感じね。俺とたつなりは真逆なんだよ。俺はたつなりの考え方は理解できないもん。でも嫌いじゃない。」

 

たつなりくん「順を追うプランと遠回りするプランがあって、ゆうきは割と近道をする方。俺は近道もしたいんだけど遠回りしちゃう。」

 

おごえさんそれが俺からすればたつなりは遠いようで近いんだよ。

 

ばばりょたつなりくんは運動神経もいいからすぐにある程度できちゃうんだよ。でも、そこから深めようとするんだよ。それで結局誰よりも練習してるんだよ。

 

たつなりくん「だって自転車乗っててみんな楽しくならなかったですか?それが原作的には近道であり、僕たちが思っていなくちゃいけなかったこと。」

 

木村達成さん、天衣無縫の極み(舞台上の全部のピンスポを当てましょう)

これは2016年の話なので、今は多少なりとも違った考え方になっているとは思うのですが、最近も言っている「真面目すぎるほど真面目なので遊び心を忘れないようにしたい。」とか「譜面は譜面であって譜面でない、台本は台本であって台本でない。」に繋がっている気がします。

いや、本当〜〜にたつなりさんはお芝居が信頼できる役者さんですよね。(n回目)

 

ここ数年の木村達成さん(のオタクとしての私)の変革だと思うんですけど、以前はミュージカルで活躍されている大先輩たちが演じてきた歴史のある作品にキャスティングされることが名誉あることで、たつなりくんの頑張りが世間に認められるということだと思ってきました。だから、エリザベートで帝国劇場に立ち皇太子ルドルフを務めたことはある意味たつなりくんの役者人生の1つのゴールだと思っていました。(今思うと勝手にゴールした気になってごめんなさいなのですが!笑 失礼いたしました!)

しかしですよ!特にコロナ後のラインナップを見ると、世界初演日本初演などなど!しかも主演続き!制作サイド的にもここぞという大事なタイミングで任せていると感じざるを得ない!オタクのエゴも入ってる気がするけど事実は事実だよね!

木村達成という役者さんにやってほしいからこの作品はどうかな?」という方向に制作サイドが動いてくださっているなんて、なんてすごい世界線に来てしまったんだ?

テニミュのときにプロデューサーさんに言われた「あなたの替わりなんていくらでもいるから。」という言葉が良くも悪くもずっと原動力になっているのかなあとも感じました。

「替えが効かない存在になりたい。」って最近本人の口から聞くけど、、、業界的にもう替え効かなくない??いや!オタク的には応援すると決めたときからずっと替えが効かないので安心してほしい!!!本当に!!!頑張れ負けるな必ず勝て!!!

東宝演劇復活プロジェクト第一弾「TOHO MUSICAL LAB.」に主演として呼んでいただけたこともうれしかったです!業界が新しいことにチャレンジするときに呼んでもらえるというのはそれだけ信頼されていることだと思うので!

舞台ファンの方々からいい感想がもらえることはもちろんうれしいですし、作り手の方からたつなりくんの舞台にかける熱量を認めてもらえるのもうれしい!一緒に仕事したいって言ってもらえることって素敵だなあ!

 

作品のネームバリューなくしても戦える木村達成

むしろ任せて安心木村達成

 

エリザベート千秋楽終わりの自分で言ってやりたいです。たつなりさんはこれからもすごいよ??これからもっと驚かされるし、もっと好きになるよ!!って!

 

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』 雑多な感想

劇団四季の『ノートルダムの鐘』は今回初観劇で、映画は数回見ただけの記憶がだいぶ怪しい人の感想です。劇団四季の作品は今まで何作品か観たことがあるだけの超初心者です。あくまで自分用で残しておきます。

 

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「人間は考えるのをやめたとき人間ではいられないのだ」

観劇後、これがこの作品のテーマのうちの1つだと思いました。

フロローをご主人様と呼び、言いつけを守るカジモド。

トプシー・ターヴィーでカジモドに石を投げる民衆。

エスメラルダが処刑されると知りながらフロローの言いつけを守ろうとするカジモド。

フロローの言いなりでエスメラルダを攻撃する民衆。

 

集団心理の恐ろしさはジャック・ザ・リッパーでも強く感じたテーマでした。(心理学を専門に勉強したことがないので間違っていたらすみません)

 

この物語でカジモドに課せられたテーマは抽象的に言うと「お前は何者だ」「何者になるんだ」なのかなあと思うんだけど、人生において自分で選んでいくのって難しい。言いなりになっていた方が楽なことが多い。(あくまで個人の意見です)

ただ辛くなるだけ いっそ僕は石になりたい

何も感じなければ どんなに楽だろうか

冒頭のごはんをもらうところのやりとりで、カジモドは怪物なんて言われているけど、発達段階的にまだまだ幼くて本能のままに動いている。動物的というか。そしてずっと大聖堂で暮らしてきた分経験が少ない。そして先導者(で言い方が合っているのかわからないけど)であるフロローがいた。親の言いつけを守っている“いい子”だったのが、自我を持ち始めた。自分で嫌なことは嫌と言えること、そして反抗することは成長の証だと思うので、この物語を通してカジモドは成長したんだと感じました。

 

石になろう

CDで聴いていたときとても好きだったので、これを生で聴けるなんて!なんて幸せなんだろう!とドキドキしながら劇場に行きました。

というか海宝さんこの曲をコンサートで歌ってなかったっけ?どういう心理だよ...急にここに気持ち持っていけるのか...重......

 

CDで聴いていたときには予想できなかった演出があるとゾクゾクしますが、カジモドを見放した石たちが普通の人間に戻る演出はうわ〜!?となった。

 

怪物、石、人間の対比が面白かった。

 

地獄の炎

冒頭の「人は皆生まれながらに悪人なのです。」って台詞は神父?フロロー?ちょっと忘れてしまったんですけど性悪説なんだなあと思いました。

『地獄の炎』はフロローが歌って赤い炎でライティングされるイメージだったんですけど(ワンマン的な)、ずっと白のピンスポが当たっていて、歌の終盤に背後が赤くなって最後の最後にフロローが赤く染まるんですね。ずっとエスメラルダに殊勝なことを説いていたフロローがついに...!という印象でした。

 

僕が愛した人たちはみんな横たわっている

この台詞で二段階ぐらいさらに地獄に落とされる。地獄やん......。

グサッときました。

エスメラルダの亡き骸を前にして「僕が愛した人たちはみんな横たわっている」と言うので「ああ......エスメラルダ......」と思っていたら「たち」?他に誰が?あ〜〜〜フロローですね?!となる地獄。

カジモドはフロローを愛していたんだね。いくら残酷な仕打ちをされたとしても、奴隷のように扱われても。石たちに「あの方は寝床をくれた」と言ってたもんね。「息子のようだと思うことがあるよ」って言われてどんな気持ちだったんだろう。

 

 

「カジモドは太い両腕を振り上げ」

人間に戻ったカジモドの最後の台詞に「処刑場には2人の骨が折り重なっていた。1人は石と編み物の首飾りをしていた。もう1人は背骨が変に曲がっていた。その腕をを拾い上げようとすると粉々になってしまった。」というニュアンスの台詞があったと思うんですけど、この両腕の描写はフロローを殺したときと繋がっているんでしょうね。

さっきの「僕が愛した人たちはみんな横たわっている」じゃないですが、あんな結末になってしまったけど、カジモドはフロローを愛していたので、こんなやり方しかできなかったことはこの先も悔やむだろうと。

カジモドが骨になり、フロローを奈落に落とした両腕が最後に朽ちたとき、死をもってようやく罪の意識が救済されたのかと思いました。

 

陽ざしの中へ

これもサントラや海宝さんのアルバムで聴いていたので、生で聴けてうれしいシリーズ。

これのリプライズが2幕のカジモドが再び大聖堂を抜け出すシーンで使われますけどめちゃくちゃ秀逸ですよね?!

1幕ではあんなに希望に満ち溢れていた曲なのに、2幕では不安の曲になっている。

ここでは「無知の無垢」を思いました。何も知らないと恐れないけど、物事を理解し始めると色んな困難さが見えてくる。外の世界を経験して憧れだけではいられなくなったカジモドが警戒しながらパリの道を歩くときにリプライズで使われるのがめちゃくちゃいい。

 

クワイ

クワイヤの演奏だけで3時間公演行けるよ!ずっと聴いていたい!

ってクワイヤだけじゃなくて、みんなすごく歌が上手ですね!!(IQ=0の感想)

2幕頭も特に好きで、こんなに歌が上手い人たちがいるなんてて世界は安泰だ!と思いました。

色んな舞台のアンサンブルさんって自分の出せる1番いい音を出して響きの上で合わせているのがすごいなあ。

それからクワイアが何パートまであるのかわからなかったけど、ラテン語の曲ということで、独立したメロディーを各パートで重ねていくときに子音があちこちから聞こえるのが本当に好きなんです!

伝え方が下手なんですけど、ラテン語の合唱曲って同じ歌詞を各パート違う旋律で歌うじゃないですか。例えば“domina gentilem”という歌詞だったら“ti(ツィ)”が各パート別のタイミングで歌われる。これが好き!

 

翌日(というか今日)にミュージカル『四月は君の嘘』東京千秋楽を控えているため取り急ぎのまとめです。また思い出したら追加すると思います。

 

 

ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』より “もう止められない”の魅力について書いてみた

この曲は舞台俳優のオタクなら誰しも自分の応援している役者に歌ってほしい!と願う曲だと思います。

ロミジュリで言うところの“僕は怖い”。主人公ダニエルの心情を1曲の中でドラマティックになぞって静かな吐露から始まり激情で終わる。

絶対見たいでしょ!!

ということで日本初演で主演をした木村達成さんが歌っているのを見ることができた私はなんて幸せ者なんだ!!という話なんですが、この曲の好きなところをまとめてみました。後で自分で思い出に浸る用です。

 

この曲は3部構成になっている。

1部

何も考えられない 悪夢から出られない

誰か僕を揺すって起こして

苦しくて息もできない

まるで底なし沼だ

抜け出したい この暗闇から

まずたつなりさんの低音が最高なんだ!!

ここ最近の舞台であまりにもたつなりさんの高音の歌声が素晴らしいもんだからついついそっちを特筆してしまうんだけど、そもそもたつなりくんの声を好きになったきっかけが低音ボイスなので、いいよね!知ってた!!

千秋楽はここからもう違ってて、2幕は特にいつもと違うなと感じていたんだけど、今までは眉をひそめてどうしたらいいかわからず怯えて困惑の表情をしていたのが、なんだか淡々としていた印象でした。あまりのことに感情が追いついていないような。

たつなりさんの感情が無になる瞬間が怖い。脱線するけど“カオス”でモンローに至近距離でフラッシュ焚かれても目も瞑らずにどっかにイっちゃってるの怖いよね......。普通の人間はあんな近くでフラッシュ焚かれたら目瞑るじゃん!たつなりさんは役に入ってるからそうなってるのか役者だからできる凄技なのか、とにかくすごい。

 

話は戻りますがイントロがめちゃくちゃロマンティックだと思うんです!ヴァイオリンが切々と奏でてどんな曲が始まるんだろうと思わせたところからこの曲のドラマ性は始まっている。黒鍵の下降が宙ぶらりんな感じがして、これからの展開を予想させるような、それでいてどこか甘さがある音色なんだけど、そこからの「今悪魔の仲間になろう」だから怒涛の展開ですよね...。ダニエルの運命の回転早い。

 

♪誰か僕を揺すって起こして

あんなクズなのに!(K MC倶楽部を聴いたらクズかどうかが議論の余地ありになった)あんな顔されたら!同情を誘うのがずるい!肩を抱いて子犬みたいになってて庇護欲をそそられる。

 

♪まるで底なし沼だ 抜け出したい この暗闇から

発声がプロい。いや、プロなんだが。

ロミジュリあたりから、中音域に数音上がるときにこの丸い発声をするなあと思っていたんだけど、発展途上だったものがここにきて抜群の安定感でプロい。

 

2部

君の人生傷つけ 奪ったのはこの僕だ

医者としての良心投げ捨て 悪魔に従おう

ほんの少し目を瞑ればいいんだ

人を殺すことをほんの少し目を瞑っただけで正当化しようとするなと思ったんだけど、よくよく考えたらダニエルは愛のために人殺し(に加担すること)になることに葛藤しているので、そうやって自分に言い聞かせることでなんとか自我を保とうとしていたんだな......というのを千秋楽後のK MC倶楽部のダニエルanswerを聴いて思いました。K MC倶楽部はFC会員でなくても無料で聴けるのでこのブログに辿り着いてくださったまだ聴いていない方はぜひ聴いてみてくださいね。

と書いたのですがこの記事を寝かせている間にFoot looseは閉鎖してK MC倶楽部も聴けなくなってしまいました...ですがこんな素晴らしいコンテンツがあったんだよということでFoot looseが生きた証を残しておきます......

https://www.tatsunari-kimura.com/tatsunari_voice_kimura-14/

https://www.tatsunari-kimura.com/tatsunari_voice_kimura-15/

https://www.tatsunari-kimura.com/tatsunari_voice_kimura-16/

https://www.tatsunari-kimura.com/tatsunari_voice_kimura/

このあたりは“カオス”でアンダーソンに問い詰められたときの「卑劣な殺人鬼め!なぜこんなことをした!」「グロリアを救うため!全て愛のため」の何言ってんのこの人????に繋がる。

観ているときは「お前の愛のために他の人を犠牲にするのか?」と思ったんだけど(「彼女はダメだ」も同様に)、これがダニエルが殺人を「辞めるわけにはいかない」理由なのかな。

私はアンダーソンの「やめろ!こいつはただの殺人鬼だ!」に同意です。「世間はこいつに同情する。そしたら死んだポリーや女たちは?ロマンティックな殺人事件を飾るただの小道具になってしまう」ってアンダーソンが言ってくれたことで正当性が保たれたと思う。

ダニエルは殺人の罪は犯すものの、倫理観が根っからおかしい人というわけでは決してなく(殺人ダメ、ゼッタイ)、愛のために真っ当な価値観を逸脱した結果狂気に走ってしまった。

 

これをたつなりくんが「愛の力が勝った」って言い方をしたのが好きでした。

 

演出の白井晃さんがパンフレットでおっしゃっていた「辞めるわけにはいかない」はすごく的を得た言語化だと思って、ダニエルはグロリアを救うために殺人を辞めるわけにはいかない。

「罪の意識はあった、でも仕方がなかった。」

その葛藤がたつなりくんのダニエルの人間らしさに繋がり、「辞めるわけにはいかない」に繋がった。

光があるから影が映える。影があるから光が映えると同様に、人間らしい葛藤があるから悪魔の部分が映える。

それにしてもたつなりくんの歌声は正義の色がしますね。

 

「医者としての良心」のところですが、良心⇄狂気だと思っていたんだけど、千秋楽でダニエルが初めて人を殺したときに、自分が刺した娼婦に一瞬手を伸ばしたのがまさか医者として怪我人を救わないとという潜在意識から出た行動か?!と驚きました。

“取締室”で床ドンからの♪僕のせいだから狂い始めるのがトリガーになっているんだけど、“もう止められない”でも「僕のせいで君を傷つけた」というワードでダニエルの中の悪魔がギョロっと飛び出てくる。千秋楽はダニエルの中の悪魔が出てくるのが全体的に早いなあと思ったんだけど、♪医者としての良心投げ捨て 悪魔に従おうで完全にキテましたね。

 

♪ほんの少し目を瞑ればいいんだ

ここは3部への助走だと思ってる。「目を瞑れば」と歌いつつも目が溢れんばかりに見開いてドロっとした狂気が見え隠れしている。決意の歌。

 

この後の金管のドンがおいしいなあ〜!やってて楽しいだろうなあ〜!

 

3部

良心など もう捨て去れ

涙は枯れた 後悔しない

後戻りできない

その命を救えるならば

今悪魔の 仲間になろう

どんなことでも やり遂げよう

止めるなら この僕を

引き裂いて

地獄の炎で 焼き尽くすしかないんだ

もう 止められない

たつなりくんは歌い方はもちろん、歌っているときの魅せ方もうまいなあと思うんですよね...特にこの3部。

♪その命を救えるならば

で片手を伸ばして後退するところ(ダニエルの研究室に対して上手側にグロリアがいると後から気付きました)は劇的。

 

♪今悪魔の仲間になろう

で顔の前に掌を持ってくるところは密かに生執事の古川雄大さんを連想してしまっていました。悪魔パワー宿してるわ...。思わずあの手袋の下に悪魔の契約印を隠しているんじゃないかと勘繰ってしまう。

 

特に好きなのが、

♪地獄の炎で焼き尽くすしかないんだ

で右手をバッと広げるところ!「地獄の炎で」でコウモリみたいにマントを膨らませるのが人間ではない別の生き物のよう。そこからニョキッと生えてきた片腕にジャックが帽子を渡す、不気味さも感じられるこのシーン。この魅せ方が持ち前のスタイルのよさがもたらした偶然の結果ではなく、意図してこうしたのだとしたら、木村達成さん本当に恐ろしい!自分の魅せ方があまりにも分かりすぎでは?!感情的なようで実は緻密に計算されていて天才!(たつなりくんのことだからここも鏡の前で研究して考え抜かれていそう)

帽子渡すところは見ないでやるのもかっこよかったけど、貰うところを見るバージョンも好きでした。特に千秋楽は後者だったのですが、帽子をもらうこと=自ら受け入れることのように見えて覚悟が感じられました。

 

♪もう止められない

このワンフレーズで様々な感情がダニエルの体を駆け巡って、悲しんだり狂気に顔を歪ませたり嘆いたり覚悟したり......葛藤の凝縮のような表情で歌っているのがたまらなく好きでした。

大楽の「止められ」が今まで観た回と全く違くて度肝を抜かれました!!!

もうは前に張って、止められは弱々しく崩れて、ないは突き進んで...

こんなに弱々しい「止められ」があっただろうか、というくらい緩急が素晴らしかった。

 

そもそも「良心などもう捨て去れ」って言ってる時点でダニエルは良心を捨てきれていないと思う。どこかに良心が残っている。残っているというよりは、彼が生きてきた中で核として積み重ねてきた信条は、ダニエルという人間を構築する上で染み込んでいるからそう容易く捨てられない。その良心がキリキリといくら痛んだとしても、何もかも捨て去る覚悟。暴走列車になるけど悪魔になりきれない葛藤と悲しみが色濃い千秋楽でした。

 

私はたつなりくんが綺麗な顔を歪ませて全部曝け出してお芝居する姿が大好きなんだなあと気付かされたJTRでした。

たつなりくんと言ったらクールな二枚目キャラとかいい家柄のお坊ちゃんポジションとか、そんなイメージが数年前まであったんですけど、スッキリでも紹介されていたように、幅広い役柄を演じるようになったと改めて感じます。今までは「この役を木村達成が?!」とびっくりしていたけど近年の活躍ぶりを見ると、もう何が来ても驚かないぞ......!!と覚悟を決めています。(と言いつつ絶対に驚いてしまう...)

 

そんな木村達成さんご出演のミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」はWOWOWライブで2月26日(土)夜7:00〜放送が決定しております!木村達成さん・加藤和樹さん・堂珍嘉邦さんのAチームです。3月には小野賢章さん・松下優也さん・加藤和樹さんのBチームも放送予定だそうです。

JTRはこの先日本でも何度も上演される作品になると思いますし、絶対に後悔はさせないので少しでも気になった方がいたら観てください!!!

よろしくお願いします!!

ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』の音楽について

韓国ミュージカル初心者のため、韓国ミュージカル全般に言えることなのかJTRだけに言えることなのか定かではないが、JTRの楽曲は登場人物の心境によって1つの曲の中で様々に曲調が変化するのが印象的だった。

曲のダイナミックさだけで物語の爆発力を再現できるように劇的だ。

 

キャストの皆さんの素晴らしい歌についていくらでも語りたいところだが、今回は舞台全体を通しての音楽のつくりについて書きたい。

 

曲のバイアスと登場人物の隠された顔

「このキャラクターといえばこの曲!」のようなテーマ曲があることが効果的に使われていた。特に最後のサービスナンバーはアンサンブルさんも含めてみんなの「おいしいところどり」で最後の最後まであんこがぎっしり詰まっていておいしい。

白井さんの演出で巧妙な手口(犯罪?)はあげたらキリがないが、日本初演をするにあたり、事前にレコーディング映像公開と歌唱披露会がありメディア露出が多かったこの作品。ある程度の客が「このキャラクターはこの曲が代表曲なんだな」というバイアスを植え付けられた上で観劇するのがすでに白井さんの術中だったと思い至ったのは9/20マチネのこと。

  • ダニエルとグロリアといえば“もしかしたら”
  • アンダーソンといえば“灰色の都市”
  • モンローといえば“特ダネ”
  • ポリーといえば“捨てられたこの街に”
  • ジャックといえば“狩りに出かけよう”

のように、歌を聞くだけで登場人物が思い浮かぶ。しかしこのバイアスを逆手に使って、「隠された人の裏の顔」を演出しているのかもしれない。

 

余談だが、曲のタイトルに登場する「まち」は2つの表記がある。

「街」表記がポリーの“捨てられたこの街に”とアンダーソンの“俺はこの街が嫌いだ”。

「都市」表記がアンダーソンの“灰色の都市”。

「街」の方が「都市」より狭いので、「都市」はロンドン、「街」はホワイトチャペル区のことだろう。つまり娼婦たちが暮らすまちである。アンダーソンの“俺はこの街が嫌いだ”は元恋人のポリーとの「オーケイ」「なんでもよ」のやりとりが入る。アンダーソンの言う「街」はここでしか食っていけないポリーの住むまちのことで、ポリーに「こんなところ早く出ろ」と諭すも「こんな私がこの街以外でどうやって暮らせばいいと言うの?」と返され、歯痒い思いを抱きながらどうすることができない自分のことを歌う「俺はこの街が嫌い」なんだろう。

 

話を戻そう。

テーマ曲を別の人物が歌っている場面を見ていく。

 

ジャックの“狩りに出かけよう”について。

 

ポリーを殺したダニエルが研究室に帰ってきて、両手が血まみれで歌う、入れ替わりソングこと“俺がジャックだ”。この曲の冒頭はジャックの“狩りに出かけよう”なのだ。

同様に、ジャックの“狩りに出かけよう”を別の人物が歌うのがもう1か所ある。“カオス”でモンローが研究室に入ってきて警官を殺す場面で、“狩りに出かけよう”のメロディを歌っているのである。

「ジャック」は誰の心にも住んでいる、誰しもがジャックな部分を持っているというのがよく現れている。人間の狂気性が現れたときにこのメロディを歌っているとわかる。

 

グロリア

次に、“グロリア”のメロディ。これはグロリアの家が燃やされて絶望するダニエルが歌う。9/20ソワレのたつなりくんダニエルは嗚咽が混じって悲壮感が増し増しだったが、♪グロリア グロリア グロリアと何回も名前を呼ぶダニエルは、燃えている家を前に何もできない。街の人からは「行けばお前も死んでしまう」と止められる。

この“グロリア”のメロディはこれ以前にも登場している。

ダニエルとグロリアが出会う馬車の事故現場だ。

メスを取り出し施術するダニエルのバックでこのメロディが流れている。しかも、神に祈りを捧げるような神聖なアレンジで流れる。街の人々が見たことのない技術で女性を救うダニエルはまるで聖人のように見えただろう。

この2つの場面で対になっているのがダニエルが「救えたか」「救えなかったか」

ダニエルはロンドンに初めて来たときから、医学を、臓器移植の可能性を信じ続けている。

新鮮な内臓を手に入れればどんな病気でも治せる。例え法律で禁止されていても。

医学で人を救うことで神聖なことと価値づける演出をしているために、いざ燃えるグロリアを前に何もできないダニエルの無力さを際立たせている。

そしてダニエルを殺人へと駆り立てる。

 

“もしかしたら”のリプライズ

“カオス”の終盤、ダニエルに銃を向けたグロリアが歌う。2人が出会ったときの“もしかしたら”とはパートが交換になっている。♪もしかしたらいつか2人傷つけ合うかもは現実になってしまった。

ここで注目したいのがカオスな状況の後ろにいるジャックだ。

ポリーを殺されたアンダーソンが殴り込んできたとき、手術台の上にいるジャックはダニエルと同じ動きで殴られる。

次に警官を殺しながらモンローが乗り込んでくる。このときモンローはジャックの“狩りに出かけよう”のメロディを歌っているが、ここでジャックはモンローの動きとシンクロしている。

そしてジャックは隙を見てダニエルに杖を渡し、アンダーソンを殴るのを手助けする。

時にダニエルとして、時にモンローとして、ジャックは人間の“ジャック”な部分の概念としてこの場面に存在する。

ところが、そこに突如銃を持ったグロリアが乱入してくる。もちろん驚くダニエルだが、ジャックもこの事態を予測していなかった表情をする。そして静かに後ろを向き影を潜める。そしてグロリアが自身に銃口を向けたとき、赤い花を散らす。グロリアの死と共に役目を終えたかのようにジャックは消えていく。

 

皮肉なことに、グロリアはダニエルを“ジャック(=罪)”にした人物であると同時に、ダニエルを“ダニエル(=良心)”に戻せる唯一の人物だったのである。

 

“灰色の都市”のメロディ

何度も繰り返されるこのメロディ。

導入部が終わってテンポを刻み始めると、旋律は細かく動いていく。

上ったかと思ったら下って、下ったと思ったら上る。やっと上ったかと思えば半音下がる。なかなか前に進めない。

まるでブラームス交響曲第1番のように上昇と下降を繰り返す。

これを大きなメロディとして見ると全体は下降している。

この旋律の動きがアンダーソンの状況とリンクしているようだ。前進したいが手がかりが掴めない迷宮に迷い込んだようなメロディは、アンダーソンのもどかしさと焦燥感を感じさせる。

 

 

 

ここまで書いてきたが、この作品に隠されたトリックのようなものはまだまだあるのだと思う。あらかじめ仕組まれたものもあれば、役者のその日の芝居で読み取り方はいくらでも生まれるだろう。

残り少なくなった公演も目と耳と頭をフル回転で楽しみたい。

ミュージカル『The Last 5 Years』を観た話

木村達成さん・村川絵梨さんペアを観劇しました。

たつなりくん...罪な男よ...

あんなたつなりくんやこんなたつなりくんがいっぱい詰まってて、「えっ?そんな...いいんですか??(ありがたくいただく)」みたいなミュージカルでした。

大好きな人が90分間ずっと舞台上にいて歌い続けてるのってこんなに幸せなことだったんだね。

 


ジェイミーとキャシーで時間が逆行していくから、公演を重ねていくうちに「こことここが対になってるのね!」「この台詞を受けてのこの台詞だ!」っていう発見があって書き残さなくちゃ!と思っても、次から次へとやってくる「うわ〜!これはずるいずるいずるい〜!!」って場面に流されて終演後には記憶がございません…ってなるのを繰り返していました。


 

2人のすれ違い

すれ違い・1

「救いはいらない ただ見守ってほしい」(M1 Still Hurting)

この言葉に集約されていると思う。2人のすれ違いはM1 Still Hurtingで実は答え合わせがあったのね。

ちょうどここでキャシーの後ろにたつなりくんジェイミーが登場なので、そちらに気を取られてこんな真理みたいな言葉を言ってると気づけたのが大阪初日だったのですが...。観ているこっちは「なんだ最初から核心をついてるじゃない!キャシーそれジェイミーに直接言った?」って口を挟みたくなりますけど…。

何回か登場する「救う」というワード、ジェイミーが言うたびに「救うとかじゃなくて!すでにちょっと上から目線だし!そう言ってる時点で対等じゃない!」ってキャシーの気持ちになってしまうのですが、ジェイミーはジェイミーで本気で救おうとしてるし、キャシーを信じる気持ちは真っ直ぐだし、家を去る直前まで「どうしたら君を救えたのか」って言ってるし......。どうやったら2人の気持ちは伝わったんだろう。

 

すれ違い・2

プロポーズ〜結婚式(M8 The Next Ten Minutes)

すごくロマンティックで愛に溢れていて大好きなシーン!曲も大好き!前奏が揺蕩う湖の水面みたいだし、キャシーがプロポーズに応える♪命捧げ 命育てからの盛り上がりも、2人のデュエットでパワーが溢れるところも好き。初日前に音源だけ聞いていたときよりも公演を観たらもっとこの曲が好きになったのは、たつなりさんと村川さんが本当に素敵だったから!

白タキシードのたつなりさんが暗がりに登場した瞬間から動悸が止まらない!白タキは正義!そしてボートで語りかけるように歌い始めるわけだけど、そこにはいないキャシーが見える!なんて大切に愛おしそうに歌うの...!

愛おしさが溢れる空間に泣きそうになる。たつなりくんの結婚式を見たらきっとこんな愛おしい気持ちになるんだろうなあ...という謎感情で泣いてた。

村川さんキャシーの白いドレスとこのときだけ濃い赤のリップも素敵で!ジェイミーが振り向いて、跪いて、手を取って、見つめ合って、軽々とお姫様抱っこして、デュエットが始まって...。どこを切り取っても美しい。泣きそう。

たつなりくんの♪今この愛を 誓うの言い方がやっっばい。1番この歌が好き。結婚式で流したい。(不吉か?)

あと♪人生をわけて 次の10分 まずは10分 わけてくれが「俺の人生半分やるからおまえの人生半分くれ!」なんよ〜!そんなん好きに決まってる〜!半分どころか全部あげるわよ〜!

2人が立ち上がった後の重低音が入ったメロディも好き。荘厳な雰囲気になってプロポーズから結婚式の場面になったんだってわかる。

とにかくたつなりくんが優しくて、声も甘いしキャシーに語りかける目線もたまらないし、手の甲でキャシーの頬を撫でるところも好き!

 

 

 

 

 

というのが大阪の前楽までの感想。そして千秋楽。やっと歌詞に注目できるようになったら......

ジェイミー「共に人生羽ばたきたい」

キャシー「共に人生支え合いたい」

ここってよくよく聞くとすれ違ってない...?と思ってしまった。

 

ジェイミーの「羽ばたきたい」は夢を目指して成功したいとか飛躍したいとか...。いわゆる“戦友”としてのパートナー。2人で勝利者になる。

対してキャシーは「支え合いたい」。「支えたい」でもなく「支え合いたい」。

でも実際の2人はどんどん成功して前進するジェイミーに対して「いつも私は遅れがちなの それでも必ず行く 信じて待っていて」のキャシー。

本当ならば並び立ってお互いの夢を追いたいはずなのにできないジレンマがある。

 

 

パンフレットのインタビューが刺さりました。「人間の中身が好きだから付き合ったのか、それともこの人が必ず活躍する人だから付き合ったのか」という質問に、演出の小林さんは「活躍できる人だから付き合った」と答えた。

活躍したいという思いはお互い同じでも、2人の間で少しずつズレがあるのかなあと思いました。

たつなりくんのジェイミーが実際に活躍しているのは“才能ある”からだけじゃなくて小説を愛しているからなのかな。M2 Shiksa Goddessの♪さあ 君のストーリー書こう〜!であまりにも楽しそうに書くから。たつなりくんのジェイミーは元からの才能と運だけで売れたんじゃなくて、小説家という仕事を愛しているから売れたんだと思わせる純粋さがあった。個人的には「愛車をピカピカに磨くみたいなバレー」とか、「テニスを始めた時、日が暮れるのも忘れて夢中にやったろ。どんなにやられても楽しくてしょうが無かった。あん時は誰しも天衣無縫なんだよ。」のイメージ。キャシーに惚れ込みながらも根本は小説を書くのを愛しているんだよね。

それに対して、キャシーはM12 I Can Do Better Than Thatで歌うように「今までとは違う人生」を求めて故郷から出てきた。そして女優という仕事に行きつき必死にオーディションを受け地方巡業している。

 

2人とも自分の夢に一生懸命なのは同じだけどルーツが違う。

 

でも、これはジェイミーの憎めないところでもあるんだけど、彼はルーツや結果で他人を評価しない人だと思う。頑張ると言ったら無条件に応援するし、純粋に信じる。

この残酷な純粋さがキャシーとの溝を深くしてしまったのだろうな。

 

 

ジェイミー「共に願いを」

キャシー「共に命を」

ジェイミー「今この愛を 誓う I Do」

願いと命。ここで思い出すのがM10 Climbing Uphillのオーディションでキャシーが脳内で思考を爆発させるところの「♪子どもができたら私たちどうなるの?」。キャシーの人生プランとどこまで行っても噛み合わない気がして「♪このままいったらこの2人どうなるの?」状態。

 

キャシーは夢に向かって純粋に突き進むジェイミーに惹かれたんだろうけど(実際に「羽ばたいてる」)、才能もあって仕事への情熱もある眩しすぎる彼にキャシーみたいな普通の人は近くにいて疲れちゃったんだろうな。隣に立って前に進むには輝きが強すぎてメンタルが焼き殺されたのかな。イカロスじゃないけど。その結果の「あなたは私を勝たせなくていい」。

 


ということに気づいたらエリザベートの“不幸の始まり”が頭の中で流れ始めて恐怖でした。

♪全ての不幸をここに始めよう 

結婚式から雲行きが怪しい。

最初は互いに愛を誓ってると思ってたんだけど、それだけじゃなくて、ここでもう価値観の違いが出ていてぞっとしました。

 


英語歌詞だとここまではっきり価値観が分かれてない気がするんですけど、日本語訳した人天才か?鬼畜!


余談ですがお互いの才能の輝きの強さにも負けずに10年後でも20年後でも(世界のどこにいても)切磋琢磨して同じ時を刻んで上を目指していけるストイックな関係ってもう日向と影山ぐらいじゃない?と思ってしまいました……。「普通の人」側にとって同じものを求められることがいかにつらいか。

 

誓い

ジェイミーの誓い

まず最初に登場する“誓い”はM1 Still Hurting

♪あなたの嘘 言い訳 あの誓いも 全てが ジェイミー 終わりね

ここの“誓い”、東京公演まではさらっと流してしまっていたんだけど、結婚の誓いってよりもこっちをキャシーは信じていたんじゃないかなと思ったのが、次に登場するM8 The Next Ten Minutesのジェイミーパートの最後、

♪離れはしない 誓うよ

 

離れはしないって自分から言っておいて離れるんじゃないよ!
結果的に離れないと言ったジェイミーの方から置き手紙をして離れてしまった。

 

キャシーの誓い

キャシーにも誓いに似た言葉がある。

M8 The Next Ten Minutesの

♪いつも私は 遅れがちなの それでも 必ず行く 信じて待っていて

共に夢を追いたいと願ったジェイミーにとってこんなにもらって心強い言葉はない。そして純粋に信じ続けた。それがキャシーには呪縛になっていく。「信じて」と愛するキャシーに言われたのだからジェイミーは信じ続けた。これがある意味ジェイミーにとってキャシーの誓い。

M3 See I'm Smilingの

♪壁を超え羽ばたくのーー! でも私は...!

が初日から心にくるものがあったのですが、時系列的にいうと4年目で、もしかしてキャシーは初めてジェイミーの前で弱音を吐いたのでは?弱音というか弱気な自分を見せたのがここだったのでは?

「でも私は...!」の村川さんキャシーがすごく人間味あふれていて大好きなんです。辛いシーンだけど。ジェイミーに「自分 自分 自分だけ!」と怒りのエネルギーをぶつけてツラに出てきて、「でも私は...!」で「言ってしまった...!」みたいな、自分で言って現実を突き詰められたような泣きそうな顔でしゃがみ込んで口を覆う。

「でも私は...!」には「あなたは小説を書けば大ヒット。自分の夢に順調に羽ばたいてるけど、私はそうじゃない。まだここで足踏みしている」が後に続くと思うのですが、強く振る舞っていた女性の脆さとか弱さとかがリアリティがあるなあと辛くなりました。

 

キャシーの2年間

M10 Climbing UphillとM5 I'm A Part of Thatの間の2年間でキャシーは心境の変化があったように見えます。

 

M10 Climbing Uphill(2年目)では、M6 The Schmuel Songでオーディションを勧められ、ガツガツとキャリアを積むために励むキャシー。

♪私は嫌 専業主婦 子どもと犬と過ごす日々

私は嫌 ハイヒール捨て ハンバーガーとドラマとワイドショー

これはヘビメタバンドのドラマーとデキ婚して「(キャシーが言うところの)ありきたりな幸せ」を手に入れた友人のことも入ってるよね。キャシー的にはバンドのドラマーがレコード屋に就職したってところも納得いかないポイントだったんだろうなと思いますが。

♪私はただ 才能がある 彼に寄り添うだけなんて嫌

いつも待ってる女にはならない

は、ジェイミーの才能に埋もれることなく、私は1人の人間として自分の夢を叶えるという決意の表れ。

 

それがM5 I'm A Part of That(4年目)のキャシーはちょっと違います。

♪そうよ 彼に合わせてる 彼の後ろを歩いて

そう それで構わない やり抜くと決めたから

 

観客はこっちの歌を先に聴くものだから、これがキャシーが求めていた本来の幸せであるかのようにも思わせてしまう。

そしてM10 Climbing Uphillで数十分後に観客は気づかされる。キャシーは自分を殺していた、と。

「やり抜く」と言っているのだからこの覚悟の前には何かしらの逡巡があったはず。

 

M5の村川さんキャシーは活躍するジェイミーを認め誇らしく思っていると同時に、この考えに至るまでの諦めや寂しさを感じさせる表情もしている。

♪そして私はその一部 一部でしょ から曲終わりに捌けて行くときの表情は言葉とは違う感情が見え隠れしていて侘しさがある。

 

専業主婦はいや!と言い切ったキャシーの、M5 I'm a Part of Thatでの「彼の後をついていく」という覚悟をジェイミーはわかってるか。ジェイミーを応援する中でキャシーには手放したものがあるとわかっているのか。

ジェイミーがその覚悟も分からずにM11 If I didn't Believe In Youで「僕の成功が君は辛いのか」「またオハイオに行ったことで自分に失望したの」「厳しすぎる現実に負けそうなのか」なんて言おうものなら、このやろー!!と思ってしまう。

でも、ジェイミーにちょっとだけ寄り添って考えると、それもこれもキャシーの「それでも必ず行く 信じて待っていて」の魔力なんだよね。あくまで純粋にキャシーを信じているから、ジェイミーからしたら、勝負を途中で投げ出されたみたいな感覚で、「僕のところまで来るって言ったじゃん。2人で羽ばたくって誓ったじゃん。君を救いたいのにそれすらも許してくれないんだね」(ルドルフの幻影「ママも僕を見捨てるんだね」)

 

ジェイミーは「手に入れたものもある(失ったものが大きい)」と言ったけどそれはキャシーだって同じ。

 

キャシーは自分がジェイミーの人生の一部になっていくことで1人の人間としての自分が消えていくことへの喪失感や焦りがあって、「私が思い描いていた人生ってこれでいいの?」という感情が曲終わりの表情だったのだろうなあと思いました。



 

ということで色々言ってきましたがここからは脳直な感想をバババッとまとめたいと思います。

 

M2 Shiksa Goddess

♪君こそが女神だとか♪生涯1人の僕の女神ーー!のときに祈るみたいに手を組んでお目目ぱちぱちしてるのが可愛すぎて「お前がな!」と思ってしまった。

冒頭低いところから歌い始めて徐々に上がっていくのも好き。

♪君を見た瞬間に息が止まったでハッとした動きになって、過呼吸になった後「ハア〜」ってため息つくのもかわいい。

♪へそにピアスいいじゃないかで狭い椅子の上でノリノリで体動かすのも好き。

 

M4 Moving Too Fast

♪摩訶不思議なimpression 全てMoving Too Fast

隠しきれないたつなりさんの英語力。

イケイケすぎて若いエネルギー放出しまくってる曲。こういう曲のたつなりくん無敵だなと思う。イケイケの中に愛嬌があるからずるいよね。

この曲も音域広いのに難なく歌い上げてるのすごい!

♪でも僕は違うの後、中盤のキャシーが出てくる直前の♪Oh〜は映画版と違うもっと高いアレンジしてるのめっちゃかっこいい!映画だとG〜A〜A〜GFなのがたつなりくんアレンジだとG〜C〜A〜GFかっこいい!

 

M6 The Schmuel Song

第一声の「あ〜」からして愉快。

腕時計の箱を机にひとまず置いて必ずポンポン大事そうに叩くのかわいい。

歌い始めと終わりのお辞儀やら♪ひと針縫う度ごとにのたつなりくんの手の動きが優雅で育ちの良さがここにも!!と思いました。

1人で舞台上にいてそこにいないキャシーに話しかけてんだけど、キャシーが客席の観客だったりピンクのスポットで表現されてたりその時々で違う中、ちゃんとキャシーがそこにいると思わせるたつなりさんの目のお芝居がすごく好きでした。

♪全てのステッチ正確でのたつなりくんのワルツステップかわいい。

♪ストップしようバイト生活って言ってるから2人の生活費はほとんどジェイミーが負担していたのかな?なんて考えると余計にキャシーは苦しかっただろうなと思いました。

 

M8 The Next Ten Minutes 

デュエットが終わってくるっと回る間にキャシーが指輪を外して時間が逆行しているのがなんとも細かい!

2人の時間が交わったのがほんの一瞬なんだなあと儚さも感じる。儚いゆえの美しさもあるんだろうな。

キャシーの♪でも私はで振り向いたときのたつなりくんのキャシーに見惚れた表情、そして感慨深げに跪くところ、愛しかない。

 

M9 A Miracle Would Happen/When You Come Home to Me 

大楽の♪かーえーるかーらーの声の太さ、艶、伸び...100点でしたね!!

たつなりくんのジェイミーは浮気をしてるからじゃなくて本当に仕事が終わらないから家に帰れないと思わせるジェイミーでした。

お酒のグラスを持って後ろにオケとやりとりするたつなりくんが好きでした。

そういえばオケの前の幕の開閉も物語と連動していて面白かったです。M1のピアノの序奏が始まると両方から幕が閉まるのが、「物語の始まり始まり」みたいで好きでした。

 

M11 If I Didn't Believe In You

ジェイミーはここでもキャシーに真正面から向き合おうとするんだけどそもそも根本がずれてるからなあ...。救うとか戦うとか。必死なんだけど必死の方向が違うから、ここでキャシーの殻は余計に頑なになるだろうなあ。今欲しい言葉はそれじゃないもの...。

いつだか忘れちゃったけど、大阪公演かな?「頼むよ」で口元に悲しい笑みを浮かべてたのが辛辛辛でした。

 

M13 Nobody Needs to Know 

いや〜〜......あの千秋楽観た後だと何も言えない.........。初日のジェイミーこのやろーから大楽に向かうにつれて「ジェイミー辛かったね、よしよし」って懐柔されていった私......。

この曲って同じ音域で同じメロディの繰り返しが多いから、旋律の起伏がない分感情の揺れを表現するの難しいと思って、下手するとただ単調な曲になりかねないと思うんですが、いや〜まんまとやられました。

 

たつなりさんの涙に弱いんですよ!!助けてください!!しかもあの人本当に辛いときに上を向いて泣くじゃないですか!!そして辛ければ辛いほど笑うの何なんでしょう!!

“““木村達成は上を見て泣く”””(岸辺露伴は動かない的な)

ハイステの「勝者と敗者」の「うちの連中は?」「......ちゃんと皆強い」とか、銀河鉄道の夜の「証明してくれる?」とか。


♪いいんだ 理解など 求めはしない wo〜wo〜の歌い方がいいです、とてもいい。

♪誰かを愛していたいを自分を抱きしめて歌うのが孤独感増してますよね。ジェイミーは愛に飢えていたというより、キャシーをあんなに想っていたのにこの気持ちが理解されないことへの悲しみが強く感じられました。今まで真摯に(浮気後だけど!!!!)「救おうと」していたジェイミーが諦めた瞬間だからこんなに虚しいんだ...。(浮気後だけど!!!!!!)

 

M14 Goodbye Until Tomorrow/I Could Never Rescue You

最後の曲のタイトルまで“I Could Never Rescue You”だからどこまでもすれ違ってるなあと思ってしまうのですが、あの絶望のジェイミーの後に初デート後の幸せオーラ溢れるキャシーが登場するのが余計に絶望感煽ってる。

5年間の後半ジェイミーを突き放していたのはどちらかというとキャシーのはずなのに、ここからM1に時間軸は進むのだと思うと、残されたキャシーの孤独が染みる。

キャシーはM3 See I'm Smilingで「この週末が2人の新しいスタートだね」と言ったけど、M3の時点でジェイミーは別れを覚悟していた。まだ関係が続くと思っていたのは突き放しがちだったキャシーというのが残された者の悲しみを強めていると思いました。

ジェイミーが「君はいつも僕との距離を測っていたね」って最後の最後に言うのが、遅いよ!わかってたなら何かしてよ!って思ってしまうけど、ジェイミーは最後まで「どうしたら君を救えたのか」って嘆いているし...。(そしてM1の「救いはいらない ただ見守ってほしい」にループする)

♪Goodbye 明日までで向き合って歩み寄っているように見えて実は目線は交錯しないのがこの2人の5年の象徴なのかな。

最後三拍子のピアノが鳴って、単音で終わるのが毎回好きでした。オーケストラがバーッとなって壮大に終わるんじゃなくてこじんまりとした最後なのがいい。「2人の人生の1ページが終わりました」って終わり方。

 

 

東京楽の挨拶でたつなりくんが「人生を考えさえられた作品だったからこそ、これから僕も色々考えたり表現していきたい」って言ってくれたのがうれしくて、“表現”ってのがいいよね。なんか、たつなりくんが役者さんのお仕事を楽しんでいるのを見るのが好きだなあって改めて思いました。

そして本人も言ってましたけど、このタイミングでThe Last 5 Yearsに出会えたことも運命的だと思います。

どの作品もだけど、“今”のたつなりくんにしかできないお芝居の積み重ねで“今”ができている。

その瞬間に立ち会えていることが喜びです。

 

L5Y中も次作のジャック・ザ・リッパーのお稽古が入ってとても忙しそうにしていましたが、次はどんな世界に連れていってくれるのかとても楽しみです!

 

 

ミュージカル『四月は君の嘘』コンセプトアルバムの話

2020年買ってよかったものランキングTOP5に入りました。

ずっとリピートして聴いています。

好きなところをあげたらきりがないので、ひとまずたつなりくんが歌っている曲を中心に感想です。また、私は四月は君の嘘はアニメを途中抜けながら1回リアタイしただけなので曲の詳細な場面はあまり覚えてないところが多いと思います...。

 

時間よ、止まれ

アルバムを頭から聴いてたつなりくんの第一声で引き込まれた曲。高い方で推移していく声の使い方が好きすぎる。

たつなりくんの歌声は真っ直ぐで癖がないところが大好きなんですが、誰とでもハモれるってすごい強みだと思います。ハモりやすい声って需要ありますよね。それでいて無個性ではなくよく伸びて艶がある声で聴くたびに聴き惚れてしまいます。

ロミジュリやTOHO MISICAL LAB.で同じ作品に出たとはいえ、こんなにがっつりいくちゃんとハモるのは初めてです。いくちゃんの声はザ・ソプラノという感じで音程が高いという意味ではなく響きが明るめだと思うんですが、それにしっかり合わせてたつなりくんは上から糸でスッとつられて背筋が伸びるような歌い方で、響きで音程を合わせる感覚でした。

君を近くに感じたいの「ちく」と「んじたい」の「」が一気に明るくなって喉を解放している声なのが好きです。大切に発声していながら遠くの山にポーンと飛ばすような「んじたい」の柔らかい音の当て方。

「クロイツェル」の「ツェ」の音の立て方と「サン=サーンス」の「サー」の響きの明るさに恋してしまいました。以前からたつなりくんは「ポジション」を「ポディション」みたいな発音をしますが、「クロイツェル」はこれに似た現象みたい。さらに今回の特典映像で“sensitive”が「センシティブ」より「センスティブ」寄りになっていたのも似たようなものを感じました。

 

 

君が聞こえる

宇宙バラード。物語の終焉に宇宙にいるような、星に囲まれて宙に浮いているような浮遊感。布の端と端を合わせるみたいな丁寧で緻密だけどドラマチックで壮大な歌い方が好きです。

この曲はしっとりバラードですが、息のスピードを持続するためにも長い息で歌う必要がある中、たつなりくんは音の回収の仕方が素晴らしいなあと思いました。たつなりくんの歌の、ロングトーンの終わりにビブラートをわずかにかけながら余韻を残して去っていくところが好きです。音の密度が最後まで大きい感じ。

特典映像のレコーディングの様子で、「忘れない」と「僕の中に」の最後の伸ばしの切り方をマイクから顔を遠ざけて物理的にふわっと切るやり方をしていたのがプロっぽい!好き!と思いました。(プロですが......)ここが大好きで何回も見てしまいます。

もう1つ絶品だと思ったのが、「聞こえる君の声 彼女の温もり」のの伸ばしで1回抜いて彼女ので巻き直して温(ぬく)でまた抜いてもりはそれはそれは大事そうに置く歌い方で軽くビブラートをかけるところです。

またメロディ部分は結構高い音でロングトーンが続きますがカーンと鳴らしているなあと思ったので、木村達成高音選手権〜!

ということで、今までの出演作の最高音はどこだ?という検証を行ったところ(抜けがあったらすみません、というかたぶん間違ってると思う)、ミックスボイス部門はロミオ&ジュリエットの“綺麗は汚い”より「ロミオの持ちを掴むのは難しい」の「」(hiC)、ファルセット部門はプロデューサーズの“オネエで”より「楽しめるのがコメディ」の前の下がって上る音階の最高音(hiG)でした!たぶん間違ってると思うけど!ちなみにテニミュで出してた最高音はバクステでおふざけで歌ってたLet's get it on togetherの「世界への扉」のmid2Gisだと思います。目をぎゅっとつぶって絞り出して歌ってたのですごい進歩ですね笑

 

映画みたいに

対して比較的低音のこちら。たつなりくんの声の伸びのよさが出てますよね。

日の光が降り注ぐみたいなピアノのイントロで、それに続くたつなりくんの声もあったかい。

この曲の余韻の残し方が好きです。まるで(    )映画の(     )ワンシーンは空白のところが切れそうで切れずに余韻で繋がっている。余韻の後の次の言葉のスタートまでの繋ぎ目もきれい。強弱はついているけど言葉は消えない。

「僕には無理 まるで映画のワンシーン」の「」のロングトーンをギリギリまで引っ張って、1番盛り上がるところで「まるで」に入るところなんて好きなところが詰め込まれています。WOWOWの“僕らのミュージカル・ソング”で歌ったときもここはたつなりくんパートでしたが、あの表情を思い出すだけで切なくなってしまいます。

余談ですが、昔音楽の先生に「声の形は始め・中・終わりに分けられるけど、中はプロも素人も実は大して差はないが明らかな違いが出るのは始めと終わり。ここの処理をどうするかで上手いかそうでないかが分かれる。」と教えてもらったことがあります。

たつなりくんが抑揚をつけるときのストレートと引っ掛けて歌うところのバランスが絶妙だと思います。

 

Speed Of Sound〜カラフルに輝きながら〜

FNSでの発表よりもテンポが少しゆっくりになって、言葉を噛み締めてより丁寧に歌うような印象を受けました。

「彩られる 世界が 今旅に出ようよ」の高揚感がすごい。ハーモニー進行がディズニーチックでわくわくします。あと「彩」で1回デクレッシェンドで沈んでからどんどん広がるのも好き。

「今動き出す」の水田さんの歌い方がかっこいいです。小関くんもですけどアミューズの方ってみんなこんなおしゃれに歌うんですか?すごい!

それから女子チームの可愛さが半端ない。ALLのアンサンブルさんもすごくかっこいい!“The Beautiful Game”もアンサンブルさん大活躍ですね。音の厚みが増して一気にドラマチックになるので偉大だなあと思いました。

 

公生ソロはより拍を感じる歌い方に変わったなあと思います。音の引っ掛け方がよりポップスっぽい感じ。「を連れて」の「」はよくよく聴くと音の引っ掛けが凝縮されているみたいなんですがいい感じにおしゃれにポップスっぽくなっていて、なんだか新しい歌い方!と思いました。「新しい」の「しい」は短い音の中に響かせるビブラートのかけ方で、ロミジュリの“どうやって伝えよう”でも好きだなあと思った歌い方でした。

 

 

取り急ぎだったので数曲しか感想を言えませんでしたが、どの曲も大好きで、この素晴らしいキャストの皆さまでいつか公演できることを切に祈っています。

次のたつなりくんのミュージカルは何なのか気になるところですが、ファントムで伯爵役をやった次にCALLのドローン役、からのプロデューサーズカルメン・ギアだったので、もうどこから何が飛んでくるか分かりませんね笑

どんな新しい景色が見れるのか楽しみです!