劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』 雑多な感想

劇団四季の『ノートルダムの鐘』は今回初観劇で、映画は数回見ただけの記憶がだいぶ怪しい人の感想です。劇団四季の作品は今まで何作品か観たことがあるだけの超初心者です。あくまで自分用で残しておきます。

 

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「人間は考えるのをやめたとき人間ではいられないのだ」

観劇後、これがこの作品のテーマのうちの1つだと思いました。

フロローをご主人様と呼び、言いつけを守るカジモド。

トプシー・ターヴィーでカジモドに石を投げる民衆。

エスメラルダが処刑されると知りながらフロローの言いつけを守ろうとするカジモド。

フロローの言いなりでエスメラルダを攻撃する民衆。

 

集団心理の恐ろしさはジャック・ザ・リッパーでも強く感じたテーマでした。(心理学を専門に勉強したことがないので間違っていたらすみません)

 

この物語でカジモドに課せられたテーマは抽象的に言うと「お前は何者だ」「何者になるんだ」なのかなあと思うんだけど、人生において自分で選んでいくのって難しい。言いなりになっていた方が楽なことが多い。(あくまで個人の意見です)

ただ辛くなるだけ いっそ僕は石になりたい

何も感じなければ どんなに楽だろうか

冒頭のごはんをもらうところのやりとりで、カジモドは怪物なんて言われているけど、発達段階的にまだまだ幼くて本能のままに動いている。動物的というか。そしてずっと大聖堂で暮らしてきた分経験が少ない。そして先導者(で言い方が合っているのかわからないけど)であるフロローがいた。親の言いつけを守っている“いい子”だったのが、自我を持ち始めた。自分で嫌なことは嫌と言えること、そして反抗することは成長の証だと思うので、この物語を通してカジモドは成長したんだと感じました。

 

石になろう

CDで聴いていたときとても好きだったので、これを生で聴けるなんて!なんて幸せなんだろう!とドキドキしながら劇場に行きました。

というか海宝さんこの曲をコンサートで歌ってなかったっけ?どういう心理だよ...急にここに気持ち持っていけるのか...重......

 

CDで聴いていたときには予想できなかった演出があるとゾクゾクしますが、カジモドを見放した石たちが普通の人間に戻る演出はうわ〜!?となった。

 

怪物、石、人間の対比が面白かった。

 

地獄の炎

冒頭の「人は皆生まれながらに悪人なのです。」って台詞は神父?フロロー?ちょっと忘れてしまったんですけど性悪説なんだなあと思いました。

『地獄の炎』はフロローが歌って赤い炎でライティングされるイメージだったんですけど(ワンマン的な)、ずっと白のピンスポが当たっていて、歌の終盤に背後が赤くなって最後の最後にフロローが赤く染まるんですね。ずっとエスメラルダに殊勝なことを説いていたフロローがついに...!という印象でした。

 

僕が愛した人たちはみんな横たわっている

この台詞で二段階ぐらいさらに地獄に落とされる。地獄やん......。

グサッときました。

エスメラルダの亡き骸を前にして「僕が愛した人たちはみんな横たわっている」と言うので「ああ......エスメラルダ......」と思っていたら「たち」?他に誰が?あ〜〜〜フロローですね?!となる地獄。

カジモドはフロローを愛していたんだね。いくら残酷な仕打ちをされたとしても、奴隷のように扱われても。石たちに「あの方は寝床をくれた」と言ってたもんね。「息子のようだと思うことがあるよ」って言われてどんな気持ちだったんだろう。

 

 

「カジモドは太い両腕を振り上げ」

人間に戻ったカジモドの最後の台詞に「処刑場には2人の骨が折り重なっていた。1人は石と編み物の首飾りをしていた。もう1人は背骨が変に曲がっていた。その腕をを拾い上げようとすると粉々になってしまった。」というニュアンスの台詞があったと思うんですけど、この両腕の描写はフロローを殺したときと繋がっているんでしょうね。

さっきの「僕が愛した人たちはみんな横たわっている」じゃないですが、あんな結末になってしまったけど、カジモドはフロローを愛していたので、こんなやり方しかできなかったことはこの先も悔やむだろうと。

カジモドが骨になり、フロローを奈落に落とした両腕が最後に朽ちたとき、死をもってようやく罪の意識が救済されたのかと思いました。

 

陽ざしの中へ

これもサントラや海宝さんのアルバムで聴いていたので、生で聴けてうれしいシリーズ。

これのリプライズが2幕のカジモドが再び大聖堂を抜け出すシーンで使われますけどめちゃくちゃ秀逸ですよね?!

1幕ではあんなに希望に満ち溢れていた曲なのに、2幕では不安の曲になっている。

ここでは「無知の無垢」を思いました。何も知らないと恐れないけど、物事を理解し始めると色んな困難さが見えてくる。外の世界を経験して憧れだけではいられなくなったカジモドが警戒しながらパリの道を歩くときにリプライズで使われるのがめちゃくちゃいい。

 

クワイ

クワイヤの演奏だけで3時間公演行けるよ!ずっと聴いていたい!

ってクワイヤだけじゃなくて、みんなすごく歌が上手ですね!!(IQ=0の感想)

2幕頭も特に好きで、こんなに歌が上手い人たちがいるなんてて世界は安泰だ!と思いました。

色んな舞台のアンサンブルさんって自分の出せる1番いい音を出して響きの上で合わせているのがすごいなあ。

それからクワイアが何パートまであるのかわからなかったけど、ラテン語の曲ということで、独立したメロディーを各パートで重ねていくときに子音があちこちから聞こえるのが本当に好きなんです!

伝え方が下手なんですけど、ラテン語の合唱曲って同じ歌詞を各パート違う旋律で歌うじゃないですか。例えば“domina gentilem”という歌詞だったら“ti(ツィ)”が各パート別のタイミングで歌われる。これが好き!

 

翌日(というか今日)にミュージカル『四月は君の嘘』東京千秋楽を控えているため取り急ぎのまとめです。また思い出したら追加すると思います。