ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』を観た話

エリザベートの大千秋楽も無事に終わり、テニミュ全国立海の東京凱旋公演が始まるまで我々おたくもお休み期間ということで、今更ですが木村達成さんがベンヴォーリオ役で出演したロミジュリ2019の総括を書こうと思います。

 

終わったの4月じゃん!もう記憶の彼方だよ!っていう思いもありますが笑 DVDも届いていることだし再生しながら振り返りますね。

 

以前東京公演が終わった時点での感想もあげていたのですが、そのときは物語の中のベンヴォーリオというキャラクターにスポットを当てて書いたので、今度はたつなりくんのお話もたくさんしたいと思います!

 

 

2/24夜 大野・木下・木村・黒羽・廣瀬・大貫

3/2昼 古川・葵・木村・平間・渡辺・大貫

3/3夜 古川・生田・木村・黒羽・渡辺・大貫

3/10昼 大野・葵・木村・黒羽・廣瀬・大貫

3/23夜 古川・葵・木村・黒羽・廣瀬・大貫

4/13昼 古川・葵・木村・平間・廣瀬・大貫

4/13夜 大野・木下・木村・黒羽・廣瀬・宮尾

 

マーキューシオ

こうして見るとマーキューシオはまりおちゃんが多かったですね。たつなりくんとまりおちゃんのベンマキュは相棒感が強いのが好きでした。やっぱりこの2人が並んでお芝居しているのを見るとエモ!!!!!って胸がいっぱいになります。

 

 

青学7代目*1 華の93年組のうちの2人。「スクールカーストが高くて街のやんちゃ者だけど何でもそつなくこなすし、やるときゃやるから人望があってみんなに慕われている」っていう私の中の青7像が、モンタギュー家のリーダー、ベンヴォーリオとマーキューシオにリンクしていたなあと思います。(※個人の感想です)

 

テニミュでは上パートをまりおちゃん、下パートをたつなりくんが歌ってたのがロミジュリでは逆転してたのも新鮮だった!

主に“綺麗は汚い”かな?ここのベンマキュめちゃくちゃ可愛かったなあ!乳母が登場する前のUFO日替わりネタもたつなりくん頑張ってたね笑

東京公演千秋楽でテニミュ2nd四天宝寺公演のD2日替わりネタを入れてきたのもうれしかった〜!

 

 

あと手鏡をラケットにしてサーブを打つたつなりくんベンヴォーリオとか、カテコで青4の渡辺さん古川さんペアと青7のまりおちゃんたつなりくんペアでダブルスしてみたりとか。(ここでは敢えてテニミュの番手順で書きましたが...)見えないネットを挟んでボールを打ち合う4人に思わず笑ってしまった笑

 

平間さんのマーキューシオはセクシーっていう言葉がぴったりな気がします。マブの女王......好き......何回も再生しちゃう。平間さんって特段エロいことしてないのに全身からエロい香りが出てる(は?)(色気って言って?)

あと平間さんといえばダンスですね!“世界の王”は目が離せなくて!ダンス踊れる人って素人目に見てもなにかが違う!同じ振り付けを踊っていても足の運び?体感がいいのかな?引き込まれました!

たつなりくんとまりおちゃんの組み合わせだとマブダチ感が強かったけど、たつなりくんと平間さんの組み合わせだと一気にたつなりくんベンヴォーリオがロミベンマキュの中で末っ子になる化学変化が面白かった。

それから“決闘”からの“マーキューシオの死”も大好きだった...平間さんのマーキューシオ、狂ってる!と思えば思うほど悲しさも増すんだよね。死に際の乾いた笑いも辛かった。

 

ロミオ

そしてロミオのお二人。

まずは大野さん。爽やかで裏表のない笑顔〜!分け隔てなく好印象を振りまく男〜!って印象でした。ジュリエットに対するアタックの仕方もガッツ!歌声もガッツ!ガッゲッガッ!ガンガンドンドン!(突然始まるテニミュ)

そして古川さん。たつなりくんが共演させていただくのもエリザで2回目になったということもあり、今でこそ古川さんファンの方による愉快なエピソードをたくさん目にするようになりましたが(笑)、最初は偉大すぎて越えられない壁のようなものを感じていました...

♪女たちは僕のことを 追いかけてくる 何もしなくても

う〜ん分かるわ〜されてそう〜そしてなにが起こったかわからないまま笑顔で受け流してそう〜(勝手なイメージです)

エリザのときもでしたが、古川さんがフェイクを入れるとたつなりくんもそれに触発されてアレンジを入れてくることが多かったなあという印象です。

 

たつなりくんのお話

たつなりくんは前作を観たときにマーキューシオをやりたいと思ったって言ってたけど、私はベンヴォーリオ役で受かってよかったなあって思っています。その理由としては、ベンヴォーリオの根っこにある人が良くてお茶目でプリティなところと、2幕で絶望に落ちていく闇の部分の両方が味わえておいしいからです!!(欲望に忠実なおたく)

だって“憎しみ”後のモンタギュー夫人との会話、「僕がロミオーー!!って叫ぶとプイッと向きを変えて森の奥へ消えてしまった」の言い方めちゃくちゃ可愛かったんだもん...“綺麗は汚い”の振り付けもあざとかったんだもん...たつなりくんの手が大好きなんですけど、♪あばーたもえくーぼさーのほっぺクルクルする振り付けのかわいさエグいわ〜〜あの衣装の萌え袖から覗く指の綺麗さもやばい。

 

隠しきれていないお育ちの良さがずるいたつなりくん

たつなりくん、「うまい」じゃなくて「おいしい」って言うところとか、お箸の持ち方が綺麗なところとか、マイク両手持ちするところとか...ぽろっとお育ちの良さが出てきちゃうところが好きです。

エリザ初日のカテコのお辞儀の仕方やばくないですか?!

これ現地で見てて思わずひえ〜〜好き〜〜!ってのけぞりました!!なんせ皇太子ルドルフだもの、お育ちの良い人がお育ちの良い役をやってるんだもの。そりゃあ限界突破してくるよね...

 

それでロミジュリのお話ですが、今回たつなりくんが演じたのはヴェローナの由緒正しき家柄モンタギュー家のベンヴォーリオ。ただし敵対するキャピュレット家の連中とチンピラみたいな喧嘩もする。

格闘シーンで殴り合ったりアクロみたいなアクションを入れるのも舞台上で映えていて好きでしたが、注目ポイントは何気ない日常シーンの仕草ですよね!

例えば“ヴェローナ”で大公が登場したときの胸に手を当てながらのお辞儀。カテコでも同じようなお辞儀をしてますけど、手はもちろんのこと、足の揃え方さえ美しい。左右をずらして片方の足をちょっと引くところとか好きすぎる。それまで治安が悪かったのに一気に醸し出されるロイヤル感!

それから仮面舞踏会でも!色んな女の子にちょっかいかけて遊び人のチャラ男をやってるくせに、女の子とペアになってダンスをするときは、「ダンスのレッスンとかまじだるくて勘弁。でもガキの頃から仕方なくお袋にやらされてたんだよね??嫌々だったよ?もちろん。...まあやればできるけど」って言うベンヴォーリオくんの姿が見える!見えます!!このベンヴォーリオくんにはダンスは標準装備として身についてます。チャラいようでしっかり教養はあるんです。

たつなりくんのお育ちの良さとベンヴォーリオがリンクして、ヤンキーさと家柄の良さのさじ加減が絶妙なたつなりくんのベンヴォーリオになっていたと思います。

 

 

絶望のお芝居をするたつなりくんが好き

そして闇が広がったときのお芝居に定評がある(?)たつなりくんですから、2幕でグイグイ引き込まれてしまいました。

 

 

これ、いつ話してくれたんだか定かではないんだけど(多分カレイベ?)「親友が亡くなってしまう絶望感に、仲間がまとまらなくなってしまうときの哀れさ」って好きな言葉です。

“狂気〜服毒”でモンタギューのみんなが♪復讐するのだ 命は惜しくないぞって歌うのに対して、ベンヴォーリオは♪みんな早まるな 頭を冷やせ 挑発に乗るな マーキューシオの喪が明けるまで 待つんだ!って諭すんですものね。マーキューシオという大親友を失った今、ベンヴォーリオは仲間たちに「命は惜しくないぞ」なんて軽々しく口にしないでほしいだろうなあと思って、分かり合えない溝を感じました。

そういえばベンヴォーリオっていつもロミオやマーキューシオのために走ってたなあ。

「人の血の中に毒が流れてる」ヴェローナに生まれ育ちながらも、ベンヴォーリオは他の人々と一線を画していて、平和志向なところが垣間見える感じがしました。たつなりくんのベンヴォーリオの仲間思いで優しくて愛に溢れているところが大好きです。

 

随所でその優しさが表れていました。

ここ、親鳥が羽を広げて小鳥を守っているようだと言っている人がいて本当に言い得て妙だと思いました。

 

たつなりくんが誰かを抱きしめているときの相手の首への頭のうずめ方が好きです(伝われ)

 

霊廟のシーンもよかったです。特に刈谷公演は音響がよかったのもあり、ホール全体が霊廟になったみたいで壁に歌声が反響していました。ベンヴォーリオ最後のソロ♪今 許し合おう〜で眉をキュッとさせて泣き出しそうになっているたつなりくんの表情が好きでした。

 

 

たつなりくんって優しい死刑執行人になるときがある

ハイステの“勝者と敗者”の話になりますが、焦りから速いテンポの攻撃を仕掛けてしまい自分の“王様”の影に崩れたセッター影山に代わり、選手交代でコートに入った菅原。しかし正攻法のセットアップゆえに次第に敵に捕まっていき、再び影山がコートに入るシーン。3年生ながら正セッターではなく控えセッターというスガさんの限られた出番をある意味断ち切ったのが影山。この影山を演じたたつなりくんがコートINするシーン、何回見ても鳥肌が立つんです。ステージ後方センターに立ち、静かな表情でコートを見据え、ゆっくりと右手でメンバーチェンジの札を上げる。

なんと美しく残酷なことか。

本人は真っ直ぐ先を見据えていて、結果としてそれが正しい方法なんだけど、同時に人の息の根を止めている。

これが先述した死刑執行人のたつなりくんです。

 

同じようなことがロミジュリでも起きていて、それが“どうやって伝えよう”の後の、ロミオにジュリエットが亡くなったと伝える場面です。

 

 

いくらベンヴォーリオがロミオの気持ちを汲んでこれ以上傷つけないように優しく優しく言ったとしても、ロミオを死に加速させてしまったきっかけはこれですよね。

 

これに付随して、と言いますか。ベンヴォーリオのソロ、“どうやって伝えよう”のお話。

 

たつなりくん、グランドミュージカルは2018年のラ・カージュ・オ・フォールに続いてロミオ&ジュリエットで2作目です。以前ラカージュ初日にたつなりくんジャン・ミッシェルの歌の上達具合にびっくりしたと書きましたが、それでも今思うとボロが出ていたなあと思うわけです。

例えば“アンヌと腕を”の♪物事しっくり いかないときも 突然に!出し抜けに!変わるのさ〜の「さ〜」とか、♪魔力に惹かれた不思議な出会い 夢うつつ 星空を 散歩してるみたい〜の散歩して「る」とかね。高音が特にだけど、喉を絞って出していて喉にも耳にも悪いなあと思うことがありました。ラカージュの話してたら観たくなった!ラカージュ観たい!再演待ってます!

でも!ラカージュのときはそれまでたつなりくんが歌ってるところは海堂薫の低音でしか知らなかったから、当社比でめちゃくちゃ高い音も出していて、歌いけるんだなあ!って思っていたんです。ロミジュリも、木村達成はこのジャンミッシェルの歌い方で来るんだとばかり思っていたんです。そしたら“ヴェローナ”の歌い出し、♪例え軍隊が止めに入ったとしても〜で「えっ?!今歌ったの誰??めっちゃ好きな声なんですけど!!えっ!!たつなりくん??好き!!」ってなる現象が起きました!笑 よかったね!(おたくの脳内平和すぎて笑う)

 

 

(初日のテンション怖いな)

 

喉で声を出すんじゃなくて鼻腔に響かせて胸に共鳴させている感じがする。そのせいか元々よかった滑舌がもっと良くなってる!これはエリザベートでも実感しました。特にア母音と鼻濁音の響かせ方が上手だった。「俺には分かる 君の痛みが」とか。エリザで言うと「ママと僕は似ている 分かり合えるはずだった」「世界が沈むとき 舵を取らなくては」「僕はママの鏡だからママは」とか。

しかも本人は破天荒で尖ってる性格をしているのに(本人曰く「丸くなるな星になれ」)歌声は癖がなくて周りと協調しやすいのも好きポイントです!今まで海堂や影山で鍛えてきた低音は磨きがかかってチェロみたいな響き方をするときがある!「俺たちの青春が 終わったことを」で次第に音が上がっていくところの音の切り替わり(境目)も弦楽器っぽい。

 

それから200回公演記念イベントでロミベンマキュの6人が歌った“本当の俺じゃない”のたつなりくんもとてもよかったなあ!サビの「本当の俺は違う」の「ほん」と「とう」の音の跳躍が最高!ティボルトをやるたつなりくんもちょっと見てみたくなったもの!

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで2月後半から4月半ばまで駆け抜けたロミジュリですが、たつなりくんの千秋楽挨拶は印象的でした。まりおちゃんの「ロミジュリはゴールしたけど僕はやっとスタート地点に立ったと思っている」という言葉を受けて、

「稽古場で何もできなかった僕が今までベンヴォーリオをやらせていただけたのはカンパニーの皆さんのおかげです。まりおが言ったように、僕もスタート地点に立ったばかりです。さらなる高みを目指して、また皆さんの前に戻ってこれるように頑張ります」

もうかなり前のことなのでだいたいのニュアンスで申し訳ないんですけど。

ロミジュリ公演期間中にあったカレイベでも、ロミジュリの歌はとにかくキーが高いっていう話題で、「あれポテンシャルじゃなくて努力の上に成り立っていますから!」と話していて、ちょっとびっくりしました。

たつなりくんが「何もできない」とか「努力しました」ってはっきり口にするのは珍しいと思ったからです。

たつなりくんのおたくがよく聞く他の役者さんからのたつなりくんの評価ってざっくり言うと、「あいつ本当に器用でね〜何でもできるよね〜器用にこなすんだよね〜!」って感じ。(本当にざっくりまとめた)

元々ポテンシャルの高さも武器として持っていたと思うんだけど、ポテンシャルが高いなりにもちろん壁にぶつかることもあったと思います。でもたつなりくんは「頑張るのが当たり前、やるのが当たり前」*2って自分でも言ってる人だから、本人の口から「(稽古のときは)何もできなかった」って言われると、ああ本当に本当に本当に頑張ってここまで来たんだなあ、当たり前にここに立っているんじゃないんだなあってジーンとしてしまいました。梅芸のキラキラの光を浴びてステージに立つ、やりきったぞという清々しい表情も相まって。

 

 

というわけでこの時点で無事にエリザベート2019も千秋楽を迎え、10月には朗読劇の恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ*3が、11月からはミュージカル『ファントム』*4が始まります。来年の情報解禁も楽しみにしつつ、さらなる高みを目指すたつなりくんを応援できればと思います!